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コイン

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出会いは偶然だった。


第一章
【出会い】


しまった…

学校の帰り道、僕はなぜかガラの悪い人達にからまれた。
正確にはからまれている。現在進行形だけどね。
「おい!てめぇ、聞いてんのかよ!?」

うざ…ちょっとぶつかっただけでこれかよ…

さて、どうやってこの場をきりぬけようかな。
僕は相手の話を無視して、考えこむ。
別に逃げることはできそうだが、あまりにも相手の体格の差を見てしまうと…ちょっと気がひけるのである。
そしてこの人気のなさだ。僕は今細い路地裏に連れ込まれてしまっている。

168㎝ぐらいしかない僕。
相手は190㎝ごえプラスムキムキときた。これじゃぁ、なぐって抵抗なんて僕には到底できやしない。


「おい!人の話聞いてんのかよ!大体、なんだよ。この格好、だせぇしキモイ。」
うるさいな。関係ないだろ。
確かにださいしキモイよ僕は。

僕の格好は、学生服だけど顔は顎まで長い前髪でほとんど隠れてる。
「それに、今どきこんな太い黒ぶち眼鏡なんてあるかぁ?」

ひとりが僕の顔にある眼鏡を取ろうと手をのばしてくる。

パシッ!
「さわるな。うざい。」
「…っ!てめぇ!いい度胸じゃねぇか!」
今まで何も抵抗もしなかった僕が反撃したのに腹をたてのか、僕の胸倉をつかんで、殴ろうとしてきた。

やば…!なぐられる…!!
僕は目をギュッとつむる。

バキッ!!殴られる鈍い音がした。だけど、僕に痛みは襲ってこない。
おそるおそる目を開けるとそこには目を疑う光景。
僕のかわりにみしらぬ男の人が殴られいた。

だっ…誰!?そして、なんで!?

ガシッ!!
えっ!?
僕をかばった男の人に腕を掴まれひっぱられた。
「逃げるぞ!!」

そのまま腕を力強くひっぱられながら前のめりになりながらダッシュで走らされる。







これが僕と七夜(ななや)との出会いのきっかけであった。




第二章
【第一印象】
第一印象は最悪だった。




僕はぜはぁなりながら呼吸を整える。
さっきの人達からは逃げることはできたからよかったものの…

誰なんだろう…どこかで見たことのある顔ではあるが、思い出すことはできない。
でも、僕を助けてくれた見知らぬ人は、芸能界にでもはいっている様なとても端正な顔立ちをしていた。
歳は僕よりちょっと上ぐらいの歳だと思うけど。
僕はおそるおそる声かけた。
「あ…あの。ありがとうございました。」
「…あぁ、いいよ。別に。」

うっ…ど…どうすればいいんだよ。
僕は悩んでいたら、かん高い声が聞こえた。
「あっ!あれ!稔城 七夜(みのしろ ななや)じゃん!」
「うそっ!!きゃー!!超ラッキーじゃん!!」
女の子の集団が僕を助けてくれた人をゆびさして叫ぶ。
みのしろ…ななや。
やっぱこの人芸能人なのかな?

「ちっ…。逃げるぞ!」
えっ!!
僕は腕をひっぱられながら走らさせられる。

な…!なんで僕まで!?


しばらく走らされた僕はしびれをきらして、人ごみからはずれた来た所で手をふりはらった。
「いいかげんにしろよ!助けてもらったことは感謝するけど、なんで僕まで一緒ににげなきゃいけないんだよ!」
僕が言うとそいつはびっくりしたそぶりを少し見せ、にやりと笑った。
「俺は稔城七夜。お前は?」
はぁ?なにこいつ。僕の話聞いてんのか?

「あんたになのるつもりはねぇよ。」
「見た目と違って、強気じゃん。」
「どうでもいいだろう。もういいだろ。さようなら。」
僕は背をむけ、立ち去ろうとしたけどそれは叶わなかった。
「俺にそうゆう態度とったやつ初めてなんだよね。」
七夜はにやりと笑みを浮かべる。
僕は七夜によって、七夜と壁に挟み打ちにあっている。そして、七夜は僕の顔をまじまじとのぞきこんでくる
何すんだこいつは?きもいな…!
「しらねぇよ。僕はもう帰りたいんだよ!どけ!!」
僕はもうぶちぎれている。

「七夜!!なにやってんだよ!!」

声がした方へ顔を向けるとそこにはかわいい女の子みたいな顔だち人と髪がかたまで伸び綺麗な顔立ちの人がいた。
だ…だれ?こいつの知り合い?
「ななちゃんもう撮影始るよぉ?」
女の子みたいな顔だちの方が言う。
2人がこっちへよってくる。
「で、誰なのその子?ついに男に走ったのか?」
もうひとりが聞く。

「ちっ!!ちげぇよ!こんなんいやだよ俺!こいつはさっきひろった子猫ちゃん。」
「僕だってあんたみたいなの願い下げだ!だいたい誰が子猫だって?」
僕は七夜をにらむ。


「こんにちはぁ。ボク、七夜と同じグループの簑島 咲(みのしま さき)。よろしくねぇ。」
咲はふんわりと笑う。
「俺は笹島 御幸(ささじま みゆき)、御幸でいいからね。よろしく。」

「し…篠原 司沙(しのはら つかさ)です。」

僕は社交辞令として名乗る。
「へぇ…司沙か。てか、なんで俺には名前言わなかったのにこいつらには言うの?」
「あんた社交辞令ってしらないの?」
僕はフンと鼻で笑ってやる。
咲と御幸は笑いをかみ殺している。
「咲!御幸!何笑ってんだよ!」
「だ…だって…!七夜に対してここまで言えるやつなんてそうそういないよ!」
咲は頷いている。

「てか…撮影?だっけ?いいの?」
『あっ!!』
三人が同時に声をあげ、やばい…!って顔をした。

「行くぞ!!司沙も来い!!」
「はぁ!?ちょっとまてよ!七夜!」
「おっ!やっと俺の名前呼んでくれたな!」
七夜がにかっとまぶしいくらいの笑顔を僕に向けた。
なっ…!たかが名前ぐらいで…そんな風に笑うなよ…

そして僕はまた七夜によって走らされるのであった。

もーー!!今日は走ってばっかだ!!



第三章
【撮影現場】
僕は渋々撮影現場に入ることになってしまった。
今僕は『MNS』(ムース)の撮影現場にいる。
『MNS』(ムース)とは、七夜と咲と御幸の三人のアイドルグループらしい。
そんなグループまったく知らなかった。
じゃあなんで今は知っているのかというと入口に書いてあったからである。

それにしても人が多いな。人の多い所は苦手だ。
「はぁ…。」
自然とため息がでる。
「つまんない?」
「へぇ!?」
気付かなかった。いつのまにか僕のまわりには、七夜と咲と御幸がいた。
「そんなに驚かないでよ。」
御幸は朗らかに笑う。

「終わったの?」
僕が聞くと、七夜が答える。
「休憩中だよ。てかちゃんと見てた俺たちのこと?」
「七夜以外はね。」
「ひどっ!」
「ふんっ!」

「はいはい、そこまで。七夜撮影だって、行ってこい。」
「…ちっ。へ~い。」
七夜は撮影へと戻っていった。

その背中を僕はぼんやりと見つめていた。

「つかさちゃん眼鏡汚れてるよ。はい、タオル。」
「えっ…。あ…ありがと。」
僕は笑って咲から貸してもらったタオルで眼鏡をとり、ふく。

「やっぱりつかさちゃん眼鏡ないほうがいいよ。」
咲は僕の顔をのぞきこんで言ってくる。
「うんうん。第一それダテだろ?なんでしてんの?せっかくの顔がもったいないよ。」
御幸も咲と同様に言ってくる。
「別にたいした顔じゃないよ。」
僕は自然と下を向いてしまった。
作品名:コイン 作家名:椎名葦智葉