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校長と教頭

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「で、どうします?」
 「どうしますって言われてもねえ。どうしようか」
 「こっちに振られても困るんですよ。この件に関しての責任は私には無いんですからね、校長」
 「それを言うんだったら俺にも無いよ。教頭」
 「大体あなたが保護者の説明会で何か対策を立てるって言ったんじゃないですか」
 「でもねえ。うちの男子生徒が女子更衣室を盗撮するなんて、予想できるものでもないでしょう? こういうときの対策なんて考えてないんだよ」
 「じゃあ説明会では何も考えてないのに対策を立てるなんて言ったんですか?」
 「対策を立てないと言うよりかはいいと思うんだけどね」
 「……とりあえず盗撮をした生徒に関してはもう退学処分にしています。後は再発防止のためにどうするかということですが」
 「そうだな。じゃあ男子生徒全員退学にさせたらどうだ? そしたら盗撮する奴は出てこないと思うんだよ」
 「冗談を言ってる場合ではないんです。それにうちは工業高校だから男子生徒のほうが多いんですよ。それで男子生徒を退学させたらほぼ全校生徒が居なくなっちゃいますよ」
 「分かってるよ。君はいつも小言が多い。それだからいつまで経っても校長になれないんだよ」
 「ほっといてください。それより対策です。対策。うちの学校が共学になったのは最近のことです。ただでさえ女子生徒が少ないというのにこんな事件があっては余計減ってしまうんです。そのための対策です。対策」
 「じゃあこうしよう。更衣室の前に用務員でも置いて見張りにすればいい。いい考えじゃないか」
 「自分で言わないでください。そんなSPじゃあるまいしずっと同じところに用務員を置けるわけ無いでしょう」
 「なら教頭。君は何か考えを持っているのか?」
 「え? あ、いや、私は……そおですね……。どこか人通りの多いところに更衣室を移して盗撮が出来ないようにするというのはどうでしょうか」
 「ダメだな」
 「は?」
 「そんな人通りが多いところで、開いている教室なんてほとんど無い。それに人が多ければ逆に覗かれる。そんなことも分からんのか」
 「……チッ」
 「舌打ちしたね、今」
 「いいえ。してません」
 「したね」
 「してません」
 「したね」
 「してません」
 「したね」
 「しました」
作品名:校長と教頭 作家名:ト部泰史