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お弁当と夜景と君。

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今日はよく晴れたとある日曜日。
直彦は通いなれた道を車で走っていた。
真っ直ぐと伸び、綺麗に舗装された道路。手を少しくらい離しても運転できるほどに。
交差点を左に曲がり、見慣れたアパートが目の前に見えてくる。
約束の9時には少しばかり早かった為、駐車場で待つことにした。
車から空を見上げると、真っ青な空と真っ白な雲があった。
煙草に火をつけて深く吸う。
しばらくぼうっとしていると、コンコンと車のドアをノックする音が聞こえた。
そちらの方向を向くと、晋作が窓から覗き込んでいる。
開いてるよ、とジェスチャーすると了解したように車内に入ってきた。
「直彦さん、おはようございます。今日は何処行くんでしたっけ?」
覗き込むように直彦を見つめる。
「今日は、土々呂方面いくじゃん。忘れないで〜。」
苦笑して車を発進させようとすると、唇に柔らかい感触があった。
直彦は何回か目をパチクリとさせる。
暫くして唇が開放されると、直彦は息を大きくついた。
「いきなり・・・。」
エヘヘと、晋作は笑う。
直彦もつられて笑うと、車を発信させた。


暫く一号線を走っていた。
松雨ICを過ぎるまでは見慣れた風景が広がっている。
「直彦さん、今日良い天気ですね〜。」
車酔い防止の為少しだけ開けた窓からの冷たい風を受けながら晋作が言った。
「ん〜、絶好のドライブ日和だよね・・・ハクション!」
直彦は言葉を言い終わった瞬間に大きなくしゃみをする。
「大丈夫?もしかして、寒かった!?」
晋作は慌てて窓を閉めようとしたが、直彦は慌ててその手を制した。
「違う違う、少し風邪気味なだけだから気にしないで。」
直彦は2,3日前から喉に違和感を覚え、鼻がつまっている。
「だったら、なおさら閉めますよ!もしよかったら、帰りますか?」
心配そうな声で直彦に問いかける。
しかし、直彦は笑いながら「大丈夫、大丈夫。」と言った。
「だってさ、今日誘ったの俺でしょ?それに暫くは2人きりで出かける暇ないと思うから・・・・。」
と言葉を続ける。
「そう・・・?じゃあ、今日はお言葉に甘えてよろしくお願いします。」
晋作は改まった態度で頭を下げた。

急に車が込み始めた。
「うわ〜、事故かな?」
直彦はCDからラジオに切り替える。
アナウンサーが事故の情報を淡々と伝えた。
作品名:お弁当と夜景と君。 作家名:私は誰?