Gothic Clover #05
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人間が人間を殺す理由
嫌いだから
ウザいから
憎いから
いらないから
邪魔だから
得になるから
損になるから
創りたいから
壊したいから
欲しいから
好きだから
愛しているから
だから、様々な理由の下に人間は人間を殺してゆく。
いつの時代の人間も人間を殺しているし、これからの時代も人間は人間を殺してゆくのだろう。そこには当然のように理由が存在するし、その理由はどれも人として当たり前の感情であることが多い。
なら、人間を殺したいから、人間を殺す人間は一体何なのだろうか。
殺すことが快楽だから
殺すことが生きがいだから
殺すことが好きだから
殺すこと自体が目的だから
目的と行動の混合。人間を殺したいから人間を殺す。こうして人間を喰らって生きてゆく。そんな彼等は……そんなボクは……
「つまらないってノ」
ボクは呟く。
学校。屋上。現在3時間目の途中。当然の如くサボタージュ。その屋上でボクは寝転がっていた。
久しぶりに授業をサボりたくなった。テストが終わったばかりだし、今日の物理の授業が重要だとは思えなかったというのもある。
ボクは起き上がる。マフラーの形を直し、屋上から校庭を見る。校庭では別の組の同学年がサッカーをしていた。寒いなかご苦労様である。
「フン」
息が白い。もうすっかり冬だ。
ボクは空を見る。空は晴れているのか曇っているのかハッキリしない天気だった。
「下らないんだヨ」
ボクはまた独り言を言う。
その独り言はしばらく空気に白く残った後、逃げるように消えた。
作品名:Gothic Clover #05 作家名:きせる