じゃんけんで勝つ方法
『な、なにを出せばいいんだ? え? 浮気バレてるの? じゃんけん? なにそれ? グー? チョキ? パー?』
無常にもじゃんけんの掛け声が始まる。
「じゃーんけーんっ!!」
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「うふ。ふふふふふ」
「あ……」
「ねえ、この前お酒飲んだ時、あたしのこと【チョキ子さん】だって言ったの、覚えてる?」
「い、いや、どうだったかな……」
「そう言ったのよ。けどね、あたし、あなたの癖に気がついてたから、勝ちたい時にはチョキを出してたのよ。あなた、じゃんけんする時、いつも何を出してるか、自分で知ってる?」
「え……?」
「あなたね、無意識に【最初にパー】を出すのよ。知ってた? あたしが【チョキ子さん】なら、あなたは【パー男くん】なのよ」
「そう……なの?」
「今のじゃんけん、いろいろ考えて頭の中真っ白になって、結局パーを出しちゃったんでしょ? 顔見てたらわかっちゃうよ」
「……」
「今日はとことん付き合ってもらうからね、パー男くん」
「あ、ああ……。二言はないよ……ないです」
「残念だったね。今日はこれでAちゃんとデートできなくなっちゃうね」
「!!」
チョキ子さんとパー男くん。
どうやらパー男に勝ち目はないらしい。
作品名:じゃんけんで勝つ方法 作家名:カズマル