じゃんけんで勝つ方法
窓の外では桜の木の葉が初夏の鋭い日差しを浴びて、鮮やかな緑色を強く放っている。
『こんなさわやかな日に……。せっかくの休みだってのに……なんでコイツの服選びに付き合わされなきゃいけないんだよ』
運ばれてきたアイスコーヒーにミルクを入れながら男はうなった。
『……あ、そうだ』男に妙案が浮かんだ。
「よし、じゃあ、じゃんけんだ。じゃんけんで勝ったほうが、今日のデート、何するか決めていいってことにしようぜ。それなら文句ないだろ?」
「えー」女は顔をしかめた。
「いいじゃないか。じゃんけんなら公平だろ?」
女は納得のいかない表情をしながらも渋々頷いた。「わかったよ」
男はにやけそうになるのを必死にこらえた。
『コイツのことはよくわかってるんだ。今までこの女とした幾万回にも及ぶじゃんけんから導き出された結論。それは……この女は無意識に【最初にチョキ】を出す。だからオレはグーを出せば勝てる。そうさ、コイツは【チョキ子さん】なんだ』
男は勝利を確信した。しかし……
「なにその変な顔。どうせあたしがぜったい勝つから」女は宣言した。
男はその言葉に動揺した。
『なんだよその強気な言い方……。まあ、いい。落ち着け、オレ』
男は焦りを隠そうとした。
『コイツ、……彼女のことはよくわかってるんだ。彼女がこんな言い方をする時は何か根拠がある時なんだ。一体なんだっていうんだ……? あ……』
男に途切れ途切れの記憶が戻ってきた。
『そういえば先週……二人で泥酔した夜、【お前は最初にチョキを出すチョキ子さんだ】と言ったような気がする。彼女も相当酔ってたとはいえ、覚えているのかも。オレのにやけ顔を見て思い出したのかな? いや、でも、……大丈夫だ。オレがグーを出すことに気づいた彼女はパーを出す。そうだ、その裏をかいてオレはチョキだ……』
女はグラスを持ってストローをくわえた。
男には女の口元に不敵な笑みが浮かんだように見えた。
『なんだよ……なんで笑うんだよ。またオレの表情から次の一手を読み取ったのか? ……いやいや、大丈夫、大丈夫だ』
男はグラスに手を伸ばした。
『彼女のことは、彼女のことはよくわかってるんだ。付き合ってかなりの時間が経ってるんだ。彼女の表情を見れば、何を考えているのかぐらい、すぐにわかる』
『こんなさわやかな日に……。せっかくの休みだってのに……なんでコイツの服選びに付き合わされなきゃいけないんだよ』
運ばれてきたアイスコーヒーにミルクを入れながら男はうなった。
『……あ、そうだ』男に妙案が浮かんだ。
「よし、じゃあ、じゃんけんだ。じゃんけんで勝ったほうが、今日のデート、何するか決めていいってことにしようぜ。それなら文句ないだろ?」
「えー」女は顔をしかめた。
「いいじゃないか。じゃんけんなら公平だろ?」
女は納得のいかない表情をしながらも渋々頷いた。「わかったよ」
男はにやけそうになるのを必死にこらえた。
『コイツのことはよくわかってるんだ。今までこの女とした幾万回にも及ぶじゃんけんから導き出された結論。それは……この女は無意識に【最初にチョキ】を出す。だからオレはグーを出せば勝てる。そうさ、コイツは【チョキ子さん】なんだ』
男は勝利を確信した。しかし……
「なにその変な顔。どうせあたしがぜったい勝つから」女は宣言した。
男はその言葉に動揺した。
『なんだよその強気な言い方……。まあ、いい。落ち着け、オレ』
男は焦りを隠そうとした。
『コイツ、……彼女のことはよくわかってるんだ。彼女がこんな言い方をする時は何か根拠がある時なんだ。一体なんだっていうんだ……? あ……』
男に途切れ途切れの記憶が戻ってきた。
『そういえば先週……二人で泥酔した夜、【お前は最初にチョキを出すチョキ子さんだ】と言ったような気がする。彼女も相当酔ってたとはいえ、覚えているのかも。オレのにやけ顔を見て思い出したのかな? いや、でも、……大丈夫だ。オレがグーを出すことに気づいた彼女はパーを出す。そうだ、その裏をかいてオレはチョキだ……』
女はグラスを持ってストローをくわえた。
男には女の口元に不敵な笑みが浮かんだように見えた。
『なんだよ……なんで笑うんだよ。またオレの表情から次の一手を読み取ったのか? ……いやいや、大丈夫、大丈夫だ』
男はグラスに手を伸ばした。
『彼女のことは、彼女のことはよくわかってるんだ。付き合ってかなりの時間が経ってるんだ。彼女の表情を見れば、何を考えているのかぐらい、すぐにわかる』
作品名:じゃんけんで勝つ方法 作家名:カズマル