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雪のかおり

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私は新潟の生まれです。田舎なので雪が毎年もっさりもさもさです。いつかの冬は新幹線が止まってあやうく神奈川へ戻れなくなるところでした。大学へ入学するまでの十八年間雪と暮らしてきたので、どうも雪が降らないと冬という感じがいたしません。なので、実を言うと気分はまだ秋です。正月、実家に帰って積もった雪を見て、ようやく「ああ、冬だ」と実感するのです。あの、シンとした透明な雪の気配とストーヴの石油のにおい。それが私にとっての冬なのです。
 雪は本当にやっかいな代物で、子供の頃ははしゃいでいても大人になるにつれだんだんウザくなってきます。雪かき、これほんとうにめんどくさい。私はなんだかんだと理由をつけて一度もしたことがありません。悪い子ですね。良い子はまねしちゃいけません。きっといいダイエットになりますよ。
 どちらかというと、雪かきをしている横をふらふらしている子で、一度事故りました。きっと遊んでないで雪かき手伝えよという神罰だったのかもしれません。
 事故というか、次のようなことがありました。親戚かつ友人の子の家に遊び行ったとき、彼女の父親と一緒に車庫の屋根の上で遊んでおりました。父親は雪かきですが、子供二人はワーキャー遊んでます。そして
 ずぼっ
 私は車庫と車庫の間の隙間に、片足をはまらせてしまいました。雪が積もっているので、境目が埋まってしまってわからない状態だったのですね。もちろん大泣きです。このまま下に落ちたら次の春まで出られません。てか死にます。凍死です。その前に餓死です。
 そのときは友人の父に助けられ事なきことをえましたが、やはり雪下ろしは危険がいっぱいです。
 また、こんなこともありました。事故ではないですが、日常では起こりえる危険です。
 雪が道路に積もらないように、除雪車がいつも道路の雪を飛ばして日夜頑張ってくれているのですが、この除雪車、危険です。大きいし、雪をかきこむ部分に巻き込まれたらミンチです。なので小さい頃の私は除雪車を見るたび、たとえそれが何十メートルも離れていようと、ガチガチに緊張して

 とりあえず自分の存在を鼓舞します。

 飛ぶ、跳ねる、踊る。
作品名:雪のかおり 作家名:安瀬武一