小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

それは夢にも似た何か

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 






卒業式。今日で学生は卒業、明日から社会人の仲間入りだと言われても困る。そんな簡単に線引きができるはずない。
しかも就職先、学校だしな。


「腹減ったー・・・」


最近やっとこ着慣れたスーツ。ネクタイはまだどうにも苦しい気がするがしばらくは多分こんな調子だな。
社会人。
信用。
Too important!
かっこつけて英語で言ってみたりする。
つまり、最初の印象が大事だと言うことだ。できれば平穏無事に働いていきたい、末永く。


「金欲しい・・・」
「俗物め」
「悪いか」
「生きてて俗物じゃねぇ奴なんかいねぇだろ。ほれ飯」
「おー、またべっそいチャーハンか」
「何だその変な形容詞は」


べそべそしている、の形容詞形だ。
似鳥の飯は正直微妙である。
金がないのでくれる分はもらっとくがまぁ、よく自炊とか頑張るよな、と。
とりあえず俺は食えれば味は二の次だ。


「米うめぇな」
「・・お前なぁ・・・米って・・・」
「だって味しねぇもん」
「嘘つけや!寧ろ若干しょっぺぇわ!亜鉛を摂れ亜鉛を!!」
「っぎゃー!喉詰まるわ!」


口に亜鉛サプリを突っ込まれた、ペットボトルも突っ込まれた。
逆流する、全部お前の顔に向かって噴射してやるぞぼけ!


「こんの眼鏡が・・・!」
「ぶぇ、ぐえっへっ、ごっは」


逆流した米と卵とチャーハンの中身の何かと水とあと何やかやが気管になだれ込んだような感覚。
とりあえず水だけは現実だ。
むせる。当然むせる。鼻の奥が痛い。むせる。


「ひっど、お前は、俺を、殺す気か・・・っ」
「死ぬか!」
「ティッシュティッシュ・・・うわ、鼻から米出てきた」
「つーか鼻から米の前に病院行けや味覚障害!」


ティッシュの箱を投げつけられた。
こいつはさっきから俺を何だと思ってるのか、化学ヲタクが腹立たしい。


「ぅあー・・・やっと落ち着いたわ・・・そーだ、お前どこ勤めんの」
「言ってなかったか?」
「言ってねぇよ。ほら、仕事によんじゃん。場合によっちゃ今日が最後だし?」


説明しよう。
何故かあの2人揃って記憶喪失になったあの日以降、何度かそういう勘違いした間違いが生じているわけなのである。
目的はばっさり言えば性欲処理。
友達は友達でも文字通り体で繋がったオトモダチ、ってやつ。
風俗だと金かかるしだからと言って夜な夜なセルフプレイはいろいろ悲しい。


「常勤講師」
「ふーん」
「神坂南高校」
「ふーん・・・え!?」


残ってるべっそいチャーハンを食べてたら衝撃的な言葉を耳にした。
この縮毛矯正野郎は何と言ったか。


「待て、どこっつった今」
「神坂南だって」
「いやいやいや」
「俺の進路に何の文句があるというんだ」
「お前の進路はどうでもいいんだよ!問題は場所だよお前の脳はアフロか!」


鞄から取り出す。
教授に見せるために持っていった書類があったはずだ。


「アフロは俺の努力の結果だろ!」
「知ったこっちゃねぇよ!これ見ろ!」


『採用通知』
差出人、差出団体?っつーの?
『学校法人私立神坂南高等学校』


「・・・嫌だ」
「俺だって嫌だ!やりづら!」
「どうすんだよ・・・」


冗談じゃねぇ。
更に線引きが難しいじゃねーかよ。
セフレと同じ職場ってなぁ・・・最高めんどくせぇ。
いっそどこかに飛んでいきたい。
ガラパゴスに永住したい。
俺の愛する昆虫たちの楽園へ。


「カブトムシと戯れたい・・・」
「また変な世界に行ってやがる・・・飯食ったならやっか」
「もうちょっと腹治まってからがいいんだけど」
「終わった頃にゃまた腹減ってって」


もうちょっと考えろよ!
・・・南の島に想いを馳せる俺が言えたことでもないけどな!




作品名:それは夢にも似た何か 作家名:蜜井