えりちゃん
わたしは急に気が抜けてすわりこんでしまった。
「かなちゃーん。きてくれたの?」
そこへ応急処置室からえりちゃんが運ばれてきた。白いものに囲まれてごきげんなえりちゃんは、起きあがろうとして看護婦さんに止められながら手術室に入っていった。
「えり。悪い虫とってもらうからね。かなちゃんに大好きって言ってもらえるようになるからね」
胸がちくんと痛くなって、涙が出てきた。
手術中のランプがつくと、先生が言った。
「かなさん。いったん学校へもどりましょう。あとはお家の方におまかせして」
「先生。ここにいさせてください。わたしの悪い虫もいっしょにとってもらうんです」
牧野先生はにっこり笑ってわたしの頭をなでると、ひとりで学校へもどっていった。
わたしはランプをじっと見つめた。あの明かりが消えたら、わたしとえりちゃんは今度こそ本当の友だちになるんだ。
そうだよね。えりちゃん!