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戦え☆僕らのヒーロー!

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その日、僕は青山先輩と二人で街の見回りをしていた。

「…そうですか、はい。」
青山先輩が八百屋のおじさんに最近被害は無いか聞いてくれている。
僕はくもり空を見ながら雨が降り出しそうだなぁ、と思っていた。
最近急に寒くなったおかげで、このコスチュームじゃ肌寒い。僕も青山先輩もコスチュームの上に上着を羽織っている。

『ねー、…じゃない?』『うん、かっこいぃ』
僕の耳に女の子達の声が届いた。チラッとそっちを見ると女子高生の子が2人、青山先輩に熱い視線を送っている。
うーん、やっぱり僕が一緒に働いている人たちってタイプは違えど皆格好いい人たちなんだよな。
普段はあまりにもアレなんで忘れてるけど…。

そんな風に考えていた僕の頭に軽い衝撃が落ちる。
「何ぼさっとしてるんだ、黒須。」
青山先輩だった。
「俺に聞きこみさせといて、自分は高見の見物か?偉くなったものだな、ん?」
にっこりと微笑まれる、すごい怖い。
「ご、ごめんなさい。」
僕は慌てて動き出した。
そんな僕を見てため息を吐いた青山先輩は今度はさっき青山先輩に熱い視線を送っていた女子高生の子たちに近づいた。

「悪い、少し聞きたいんだが…。」
「「っ、キャアアアアア!!!」」
女の子たちは突然声をかけられたことに驚いたのか、悲鳴をあげた。
「っ、な、敵か!?」
青山先輩が素早く周囲に視線を動かす。
「いやー、超格好いいー!」
「無理ー、今日スッピンなのー!」

女子高生たちはそれぞれ声をあげながら青山先輩から逃げて行った。
残された青山先輩が「…なんだあの生き物は?」と呟く。
先輩、あれが日本の女子高生という奴です。

僕も仕事をしようと近くの駄菓子屋のおばあちゃんに声をかけて、雑談に花を咲かせたところだった。
ポツ、ポツ、と、雨粒が落ち始める。
「青山!いったん研究所へ戻るぞっ!」
僕は青山先輩に従い、おばあちゃんに礼を述べ青山先輩と雨の中を走った。

研究所に戻り、タオルを借りて頭と体を拭く。

「佐助くん、優一くん、見回りお疲れ様。お風呂沸かしたから良かったら順番に入ったら?」
白石先輩がにっこりと微笑む。
「すまない。」
「ありがとうございます。」
研究所にはお風呂が付いてる。
広くは無いがちゃんと湯船もあって、体を暖めることができる。

「黒須、先に入れ。」
「え?」
そ、それはさすがに…こういうのは普通先輩からだろう。
「いえ、青山先輩お先にどうぞ。」
「チッ、いいからさっさと入れ。また風邪でもひかれたら迷惑だ。」
イラついたように言われ、僕は少しびびったが此処は引けない。
「でも、青山先輩、」
「いいから先に入れと言ってるだろう!」
うわ、怖い。

僕は申し訳ないなーと、思って名案を思い付く。
「あ、じゃぁ一緒に入りませんか?」
確かに広くは無いが二人くらいなら大丈夫だろう。
僕があたたまって出るのを待っていたら、さすがに青山先輩も風邪をひいてしまう。

そう思って言ったのに、僕の言葉に青山先輩が固まる。
否、青山先輩だけじゃ無かった。
僕たちのやり取りを微笑ましげに見ていた白石先輩も、向こうの方でいつものごとくギャーギャー騒ぐ赤井、桃川さん、黄河先輩も、皆ピキンッと固まる。

え?僕何か変なこと言ったかな?

「っ、ちょい待て優一!てめぇ『一緒にお風呂v』イベントは俺もまだしたことないぞ!?」
え?な、なに?イベント?え?
「赤井くん、待ちなさい!そのイベントの前にまず同棲してるなら『お風呂でバッタリ!?』のハプニングは必須よ!」
桃川さんが真剣な顔で赤井に叫ぶ。
…てか、僕と赤井は別に同棲してるわけじゃ…。
「俺それ知ってるー!『風呂借りるぜ』ガラッ『え、キャ!』『あ…わりぃ!』ってやつでしょー?」
黄河先輩がキラキラと目を輝かせ言うが、セリフと擬音だけじゃ僕には何が何やら?

そして肝心の青山先輩は、肩を震わせていた。
顔が赤い、すごく怒ってる時の前兆だ。
・・・ええ?どうして?

「、だっ…お、お…!どっ…き、…!!」

??
???
青山先輩は肩を怒らせて僕に怒鳴った。
けれど僕には何を言われたのかサッパリだ。だ、おお、どき?

白石先輩がクスクスと笑い、言う。
「ふふ、佐助くんの言葉を通訳すると『黙れ!お前は俺をどうする気だ!!』って言いたいんだと思うよ。」
ど、どうもしないのに…。
「さ、黒須くん。とりあえずお風呂で暖まりな、ね。佐助くんは今の君の言葉で体中熱くなったみたいだし、大丈夫だよ。」
白石先輩が僕を促す。
そんな僕に先輩は一つ忠告してくれた。

「いいかい?あんなこと誰にでも言っちゃ駄目だよ…例えば俺に言ったりしたら、俺は躊躇しないからね…?」
にっこりと微笑まれ、ぞくっとしたので本格的に体を冷やしたのかと思い、僕は慌てて風呂場へ向かった。