小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

魔導装甲アレン3-逆襲の紅き煌帝-

INDEX|13ページ/51ページ|

次のページ前のページ
 

 仮面で素顔を隠す隠形鬼。
 いつだったか、隠形鬼はその顔をリリスに晒したことがあった。あのときのリリスの驚きようと言ったら……。果たして隠形鬼とはいったい何者なのか?

 ベッドで横たわるライザ。仮設病院に並べられた大量のベッドのひとつに、ライザは絶対安静の状態で寝かされていた。
 そこへ一輪の花を差したコップを持ってセレンが現れた。
「調子はどうですかライザさん?」
「病院なのに鎮痛剤もないってどういうことよ、最悪だわ」
「でもラッキーでしたね、革命軍の野営地の近くに出られて。もう絶対死ぬんだなぁって思いましたもん」
「そうね、奇跡だわ。一か八かの空間転送で、二人とも無傷で、しかも二人で同じ場所に、さらに不毛の大地のど真ん中ではなくて、野営地の近くに出られるなんて、アナタの神様もサービスしてくれたわね」
 近くと言ったが、実際は2人で1日荒野を彷徨った。
 溜め息を吐きながらライザはつぶやく。
「おなか空いたわ」
「わたしもペコペコです」
「なんでもいいからもらってきてちょうだい」
「無理ですよ、食糧も不足しているみたいですし」
「ならこれでパン1個と水に交換してきて」
 ライザはポケットから金貨を出してセレンの手に乗せた。
 古い金貨で鈍い光を放っている。
「これってロゼオン金貨じゃないですか! パン1個と水なんてとんでもない、1年分のパンと水になりますよ!」
「そんないらないわよ。今必要な分だけ水と食料が手に入ればいいわ。どうせ戦争が激化したら、価値が暴落するのだから、使えるうちに使ったほうがマシだわ」
「わたしが交換しに行くんですか? いやですよ、恐いひとたちに絶対金貨奪われます」
「仕方ないわねぇ」
 ライザはベッドから起き上がって、渡した金貨を奪って取り戻した。
 セレンは慌てる。
「だめですよ、安静にしてなきゃ!」
「アナタが頼りにならないからよ」
「そんな、だったらわたしがんばりますから!」
「もういいわ」
 つかつかとライザが歩いて行く。
「待ってくださいライザさ〜ん!」
 待たなかった。振り向きもせずライザは進んでいく。
 仮設病院のテントを出て、食料保管庫を探す。
 病院内は重苦しい雰囲気が漂っていたが、外に出ると緊迫感が凄まじい。ここは戦地なのだ。
 兵士たちの話によると、現在交戦中の相手はシュラ帝國の残党。帝國から分離した勢力のひとつ、中でも厄介とされている軍事力を受け継いだ大臣派だった。
 食料庫の近くまで来ると、なにやら揉めている声が聞こえた。
 兵士に取り囲まれている男が地面にあぐらを掻いている。
「あーあー、悪かったよ。腹が空いたんで、ちょっとパンをくすねただけだろ」
 ライザが目を伏せた。
「なんだか嬉しくないわ」
 セレンも男がだれだかわかったようだ。
「トッシュさん!?」
 大声で叫んだために、周りの空気が一瞬にして変わった。
 トッシュに銃を向けていた兵士も驚いて笑っている。
「まさか……あのトッシュさんなんてことは、あはははは」
「こんな浮浪者みたいな奴が英雄トッシュのはずないだろう!」
 もうひとりの兵士は機関銃の銃口でトッシュを小突いた。
 すぐにセレンが庇いに入ってトッシュを抱きかかえた。
「やめてください、このひと本物のトッシュさんなんですから!」
「なんだこのシスター?」
 兵士はセレンにも銃口を向けた。
 刹那だった。
 立ち上がったトッシュが機関銃の銃身を握り上に向け、もう片手で愛銃〈レッドドラゴン〉を抜いて兵士の首に突きつけた。
「動くと撃つぞ」
 脅しではない低いトッシュの声が響いた。
 ライザも懐に手を突っ込んで〈ピナカ〉を抜く寸前であった。
「英雄なんて言われても、顔なんて知れ渡ってないものね。本人だと証明する術を本人がもってないなんて厄介だわ」
 事態は一触即発。周りにいる兵士たちの銃口はすべてトッシュに向けられている。人質になにかあれば、一斉射撃が開始されるだろう。
 騒ぎを聞きつけゴリラのような巨漢がこの場にやってきた。
 兵士のひとりが声をあげる。
「大佐!」
 筋骨隆々の大佐は周りを見渡した。
「なにごとだ!」
 と、言ってすぐに驚いた顔をした。
「まさか?ライオンヘア?!?」
 ライザと眼が合ったのだ。
 シュラ帝國の?ライオンヘア?と言えば、以前のトッシュよりも比べものにならない有名人だ。この場を震撼させるにはあまりある。
 トッシュもライザに顔を向けた。
「シスターだけじゃなく、なんでおまえいるんだ?」
 その声に反応して大佐はトッシュに顔を向け、再び驚いた顔をした。
「おおっ、トッシュじゃないか! 久しぶりだな!」
 トッシュは不思議そうな顔をして、少し黙り込んで考えたのち、パッと顔を明るくした。
「おおっ、?キング?か! 懐かしいな、何年ぶりだ?」
「英雄に?キング?なんて言われちゃこっ恥ずかしい。出世しやがったなトッシュ!」
 周りを置いてけぼりで、いつの間にかトッシュと大佐は抱擁を交わしていた。
 どうやら事態は収拾しそうだ。
 大佐とトッシュが肩を組んで歩いて行く。
「俺のテントで酒でも飲もう!」
「いいな、上等な酒なんだろうな?」
「なに言ってんだ、酒ならなんでもいいクセして」
 二人はうれしそうに顔を弾ませていた。
 きょとんと立ち尽くしているセレンにライザが声をかける。
「アタクシたちも行きましょう」
「はい、はい!」
 先を歩くライザの背中を慌ててセレンは追った。