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学園の記憶

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【この道を、一体何回歩いたんだろう】
【この校舎で一体何回、アイツらとバカなことしたんだろう】
【この教室で一体何回、居眠りしながら授業を受けただろう】
【この席で一体何回、斜め前にいる彼女のことを思っただろう】

「おーい瀬多!そろそろ時間だぞ。さっさと体育館に行け」
「はーい」

【2005年3月15日。僕はこの学校を卒業する】

―学園の記憶―

「最後まで校長話長かったな」
「ああ、マジだるかった」
「年寄りはみんなあんな感じなんかねー」

僕らは校長先生の最後まで長くて容量のつかめない話を聞き終わり、卒業証書を受け取ってクラスに戻っていた。
クラスで担任の若松先生に、クラス皆で書いた色紙と、最近生え際が後退してきたということで、冗談で育毛剤をプレゼントした。
先生は最初は怒って、ひとしきり笑った後、
「ったく。卒業式ってのはなれねえな」
と、少し泣きそうな変な顔をして、最後のホームルームを終わらせた。

そして、クラスの集合写真を皆で撮った後、自由解散ということになった。
それぞれクラスを出ていく。
それぞれ思い出の場所とかで記念撮影をしてたりした。

「なあ瀬多。おまえどうすんだよ?」
「どうするって、なにをさ」
「卒業式なんて、うってつけのシチュエーションだろ。というかラストチャンスだろ」
「何のだよ」
「告白」
「は、はあ?」
「おまえが里中のこと好きなの知ってないと思ったか」
「ばっ、そんなんじゃねえよ」
「てれてるてれてる」
「うっせ!」
そんなことを話していた時、ドアを開ける音と、元気な声が聞こえた。
「おっす!まだ教室にいたんだね」
里中だった。
【お、おお?!まさかの本人登場?!】
【ちょ、ちょっと今の聞かれてないよな?!】
「何二人でこそこそしゃべってるのよ」
「い、いや何でもないです×2」

里中の事を意識し始めたのは、
出会ってから2年半たった、3年の夏だった。
我ながら遅すぎる。
僕と花村と里中は、
席が近かったからすぐに仲良くなって
しかも3年間一緒のクラスだったから
よく一緒にだべっていた。
さばさばしてて、お調子者。
でも困っている人にはそっと力になる。
こんなに近くにいたのに、気がつかなかった。
いや、近すぎたからかもしれない。

「ちょっと俺、トイレ行ってくる」
「いってらっしゃーい」
作品名:学園の記憶 作家名:伊織千景