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サヨナラ、ママ。

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#09 魔女。



うちには“魔女”がいるんだよ。

その魔女はね、
「可哀想な可哀想な女の子」
でいる私のことが好きなの。

だからね。
「可哀想な可哀想な女の子」
にさせるために、
時々意地悪な魔法をかけるんだ。

リビングに行けば出て行かれたり。
同じテーブルのイスに座れば
即座に立って、忙しいフリして
決して一緒に座ってくれない。

何度も何度も試しては、外される歯ブラシ。
決して家族のフォルダーに入れてもらえない、
私の歯ブラシ。
穴はたくさん、空いているのにね。

玄関先に置いた、私のバイクのメットは
わんこの餌いれの蓋になってた。
まだ使用中だったにも関らず。。。。

父と話が盛り上がれば
「つまんな〜い」といって、むくれる。
不機嫌になって眠り込む。

そして、兄弟もいないと思え、
両親もいないと思えと言われた
「可哀想な可哀想な女の子」
になった私に。

「可哀想な可哀想な女の子」
になったら、
「お母さんだけは味方よ」。
的なことをすぐ口にするけど
実行力はさほど、ない。

じゃ、どうして魔女になっちゃうの?
どうして味方でいれくれないの?

何か困った時は
「えー。そんなの知らない〜」
それは味方なの。。。。????
口論になれば、父に殴られるのは私。
あの時も、お母さんは雲隠れしていたね。

その魔女はね、
「可哀想な可哀想な女の子」
でいる私のことが好きなの。
だらら時々、
意地悪な魔法をかけるんだ。

でもね、お母さん。
「可哀想な可哀想な女の子」で
いられる私の居場所はもう、ないよ。
そんな時は、どうしたらいいの?
そんな時は、守ってくれるの?
どんな時も、味方でいてくれるの??

お母さん。
でも、私はやっぱりあなたのことが
多分、スゴく好きだと思う。

それもどうしていいか、わからない。
魔女の魔法のひとつなのかな。。。


作品名:サヨナラ、ママ。 作家名:さんななご