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ひらきこもりの方程式

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僕は内気で人と腹を割って話すことも出来ず、当然異性となんて喋れない。趣味は読書で、記憶力がいい。だから無駄な知識だけはたくさんある。古代文明が作り上げた遺跡の生活空間面積も覚えているし、一昨年流行した蟻をペットにするという嗜好が生まれた理由を探ったレポートもそらで説明できる。勉強もわりとできる。運動能力は並より下かも知れないけど、そんなに問題になるほどじゃない。視力は著しく低いから眼鏡での矯正が必要だ。男ぶりがいいとは自分では思わないけれど、この世のあらゆる男の中でもっとも悪いとは思わない、思いたくない。自分に自信があるかと問われれば少し言い淀んでしまうけれど、うぬぼれが強いよりはいいんじゃないだろうか。そうでもないだろうか。

 僕は考える。僕の長所のこと、僕の欠点のこと。そしてまた考える。この僕は異性に好感を抱かれる人物であるかということ。

 これまでの実績はゼロ。僕は今まで異性と男女の交際をもったことがない。それどころか友人と呼べるようなつきあいの異性だってひとりもできたことはない。
 僕は考える。この僕の能力や、人格について。そして確信をもつ。僕はそんなに悪い男じゃない。見栄えはしないが、それはきっと他のなにかで補える。今僕を取り巻く全ての環境を無視して、そこから貼られるレッテルを取り外して、純粋な僕自身を見たとしたら、僕はそんなに悪くない。これはただの希望的観測じゃない。僕はそれほど自信過剰な奴じゃない。至極冷静な客観的視座において観察され考察された結論だ。僕はそんなに悪い男じゃない。

 なんとすれば彼女が僕を好きになるべき可能性は無限大ということになるだろう。


作品名:ひらきこもりの方程式 作家名:蜜虫