Awtew.2 (e-r) 1
「会いたかったんだ、あってすぐに抱きしめたかったんだ、そして、言いたかったんだ」
そして、僕は言う。
「君が、好きだってことを」
もう、ここまで来たんだ。
「いつも一緒にいたい、僕のものにしたい、君を襲いたいくらい、君のことが――」
後悔は、無い。
「好きなんだ」
ぼろぼろと、流れ落ちる、歩香の宝石のような泪。それが、熱く熱く、僕の服に沁み込んでいく。
「セ、キぃ……」
言葉を紡げない位に泣いている歩香の頭を両腕で包み込む。
「僕は歩香のことをもっと知りたい。いや、知らなきゃならないんだ。君のためにも、僕のためにも」
僕は、もう知ることを恐れない。歩香のためにも。
「もう、ボクは、独りじゃないんだ……」
ひとしきり泣いた後、歩香がそう呟いた。
ギュッ、と一層強く僕に抱きつく。
「僕が、独りにさせないから」
それに答えるように、もっと強く歩香を抱きしめる。
「――ありがとう、セキ」
歩香が、笑う。眼の端に、いっぱいの泪を溜めて。
「そして、これが、さっきの答え」
僕の頭が歩香の両手に包まれる。
そして、徐々に近づく、彼女と僕の頭。
僕は、初めて、歩香の味を知った。
作品名:Awtew.2 (e-r) 1 作家名:犬ガオ