モノガミものぽらいず
すずめ☆実況解説 1
『よーこそおいで下さいました』
そう言って、ウチとイケメンで変態の吉原くんは、秋月とハクビちゃんを山荘で出迎えた。
ふっふっふ。ウチはグリグリ瓶底メガネでツインテールのメイド。
んで、イケメンで変態の吉原くんは、モーニングばしっとキメた執事風のキャラやねん。変態のクセに、様んなっとるトコが恐ろしいわ。
「あ、どうも。森元教授にはお世話になってます。今日はお招き頂きまして、ありがとうございます」
言って、秋月はかしこまる。イケメンで変態の吉原くん相手に。
――ちゃうちゃう、ちゃうでぇ? 今日の企画は全部ウチやんか? お礼言うならウチや――
なんて思いが胸中を過ぎる。過ぎるがココはガマンやねん。
取り敢えず、ウチは秋月の手荷物に手を伸ばす。
「あ、お荷物お持ちしま――」
すぅ〜、と、思わず関西弁イントネーションが出かかるウチ。アカンアカン、こんなんでバレたら台無しや。
「――す」
「あ、ありがとう。でもいいよ。自分で運ぶから」
そう言って、秋月は手渡そうともしない。
一瞬、秋月がカッコよく思えてしまうウチ。しかし、
――やるやんけ、秋月。ウチいまちょっと感心したで? ――
とか思ったウチがアホやった。
「こんなちっちゃい子に持たせるワケにはいかないからね〜」
――ガキ扱いかボケ〜〜〜っ! ――
とか思っとると……
くんくん。
くんかくんか。
すぐそばで臭いを嗅ぎ出したイキモノがおる。
眼前で揺れる、ご立派な犬耳と、じっと見つめてくるつぶらな瞳。
瓶底メガネ越しで見えるハズもないのに、ウチはどうしても緊張してまう。
しかし、バレるハズあらへんねん! ウチ、さっき風呂入ったばっかやねんからな!
作品名:モノガミものぽらいず 作家名:山下しんか