モノガミものぽらいず
ハクビのメッセージ 4
秋月……
………………
……まだ、おらの姿が見えてないだな? だって、言葉が通じてないだもん。
っかしぃだなぁ〜? やっぱ、なんか足りないだかなぁ?
そうそう、おら、この間トモダチんなった『トーキョー仮面』ちゃんに、また会っただから、相談してみただよ〜。
そしたら仮面ちゃん、「秋月に何か足りひんから、ハクビちゃんが見えてへんのとちゃう?」って言うだぁ……
あんた、子供の頃は、おらの事ちゃんと見えてただよなぁ?
だっておら、あんたと手ぇ繋いで、一緒に遊んだ記憶さあるだもの〜。ちゃんと見えてなかったら、手ぇ繋いで走ったりできねべさぁ?
……いや、実はなぁ? この間、公園で子供達と遊んだ話したべさぁ? 実はあの時な? 子供達の中にも、おらの事「わんわん」って呼ぶ子と、「お姉ちゃん」って呼ぶ子がいたのさ〜。
おら、郷じゃ一度だって『わんわん』、って呼ばれた事なかっただからぁ……
……ちょっと、ショックだっただよ……
まぁ、それはいいだけども……あんたも、その子供とおんなじになってしまったんでねぇかって……そう思っただよ〜。
おら、あたま良くないだから、ホントのトコは、よく分かんないだけどな〜……
足りないものって、なんだべなぁ?
おら、あんたのばっちゃまから、あんたの父っちゃや母っちゃの話も聞いただよ……
仲悪くなって、離れ離れになってしまったって……
それが原因かなぁ? って、思ったりもしただけど……う〜ん……
……ダメだぁ、やっぱおら、あたま悪いだよ……知恵熱でてきたべさぁ……
……だけど……
……おら、一緒にいるだからな?
秋月の傍さ、ずっと一緒にいるだから……
あんたが立派になって、おらのこと、「もう必要ねぇ」って言うまで、一緒にいるだからさ……
……だから……
できれば早く、おらのこと昔みたいに、人の姿に見れる様になってくれると……
おら、嬉しいだよ〜。
作品名:モノガミものぽらいず 作家名:山下しんか