彼女はいつものシニカルな笑みを浮かべ
さて。結論から言うとその日は彼女を見つけられなかった。小説なんかだとあっさり追いつけたり、二人の思い出の場所(そんな所はない。しいて言うなら部室だがあそこも間借りに過ぎない)に行くと膝を抱えてたり、旧校舎(これも無い)に居たりするのだが。現実は厳しいようで。
それでも恥を捨てて手芸部に聞きに行ったが「なんか、具合悪くなったとか」という(だったら誰か送ってやるだろ、普通)、苛立ちを飲み込まなければならないような友達甲斐の無い言葉を貰い、憤りをそのままに校内を捜索。見つからないので敷地内も全部見て回り、全て見た所で、外に居るんじゃないか、という発想がようやく生まれた。
とはいえ今更探しても見つかるはずもなく。それでも気持ちは収まらないので、収まるまで探した。つまり日の落ちる七時まで。三時間程を彼女の捜索に費やしていた訳だが問題ない。だったら勝負は明日だ。
作戦は単純明快。朝早く行って校門で待ち伏せ。
周りの視線は痛いだろうが思いこんだら一直線だ。兎にも角にもやるしかない。
飯→風呂→寝る。のオッサンコンボを決めて明日に備えた。
…………珍しくリンスをしたのは、何となくだよ。
作品名:彼女はいつものシニカルな笑みを浮かべ 作家名:♯はせ