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彼女はいつものシニカルな笑みを浮かべ

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彼女はいつの間にかいつものシニカルな笑みを浮かべていた。

 「たった、それだけのために、ここで待っていたの?」

 「……まあな」
 
恐れない。自信は無いけれど、短い間だけど、彼女と過ごした時間は間違いなく本物だから。

 「……そんな事、放課後でいいのに」

 「……え?」
 
間抜けな声が出た。放課後に――会えるのか? また、いつもの場所で?

 「ほら、遅刻するわよ」

言うなり彼女は言ってしまった。誰も居ない正門前には、俺と、砕けたセンターキューブだけ。
思わず苦笑してしまう。チャイムが鳴ってから来た奴に言われたくはない。

 「おい、待てよ」
 
笑みをそのまま、彼女の背中を追いかける。少し走ればすぐに追いついた。彼女の歩みはとてもゆっくりとした物で……隣を歩く事を、許してくれているようで。
だから俺は、歩幅を合わせて歩く。彼女の隣を、しかし違った目線で。
きっとこれから。だけど、いつかは終わってしまう関係。
それでも構わないんだ。何気ない日常の、その瞬間瞬間を見逃さないように。無駄にしないように。時間を捉えて、流れに乗って。
そうやって。ごく自然な毎日を、毎日繰り返して生きていこう。