ひとりかくれんぼ/完結
5月24日 01:22(月)
★5月24日 01:22(月)
今日も一日疲れた?。「ひとりかくれんぼ」結構読んだ人がいたみたいでよかったです?。怖かろ?怖かろ?尚、怖い話とか紹介はしますが、その後は何も責任を持てませーん。自己責任で読んで下さーい\(^O^)/なんかそういうの憑きやすいんだけど読んだら憑きましたッ具合悪くなりましたッ管理人責任取れおな!って言われても、何も出来ないからね…ごめんよ?。
なんだか薄気味悪い文章だ。何か苦情でも来たのかな、と思いつつ、携帯を閉じた。
結局、サチは井坂サンにひとりかくれんぼをやらせることに成功していた。実行は井坂サン、私とサチは見張り。
好奇心は恐怖に勝つが、実際のところ利害には勝てない。好奇心はあるが、何らかの被害が及ぶのが怖くて、実際には行動できずにいる。そういう時はどうすればいいか。サチは可愛く笑った、他人を使えばいいんだよ。
しかも、井坂サンはオカルト好きらしく相当乗ってきており、自らやりたいとまで言い出した。それを聞いたサチは大喜び。私も…少し、嬉しかった。嬉しいよりも、もっと、こう、醜い感情かもしれないが、それでも試すことが出来る。
その場ですぐに決まったのは、やる日。5月26日、水曜日だ。都合よく創立記念日で学校が休みなのだ。実行場所を探すのに手間取りそうだと思ったが、それもすぐに決まった。井坂サンのお兄さんの家だ。お兄さんは大学生で、割と近場で一人暮らしをしているらしい。そこをもしかしたら、借りられるかもしれないとのこと。早速井坂サンが交渉に掛かっている。
「結構、すんなり決まったね。井坂サン、超頼もしいわァ」
帰り道に寄ったマックで、サチは満足気にエビフィレオを頬張りながら言った。
「人形とかこっちが用意しなきゃかなーって思ってたけど、全然、ノリノリだね、井坂サン。昨日から色々調べてるらしーよ」
「ああ、うん…メールとか来た」
「あっ、愛んとこも?私のとこも!正直多すぎてうぜえ、けど、まあいっかー、みたいな?」
昨日から何か一つ分かる毎に、井坂サンは私たちにメールを送ってきた。日本酒を用意するだとか、札を念のために用意しておく、だとか、何から何まで逐一。よっぽどオカルトが好きなんだろうと思ったが、サチの言うとおり、やっぱり少しうざい。
と、言った矢先に私とサチのケータイが光る。
>差出人:井坂サン
「また来たし…あ、部屋オッケーらしーよ」
「マジで?うわ、ほんとだ」
>本文:
>兄ちゃんの部屋借りれた。
>高校のすぐ近くだよ。
>兄ちゃんは友達の家泊まるらしい。
>実行できるね、やった!
「実行できるね、やった!だってー。マジおもしろ」
「学校の近くかあ。なら、結構近いし、出れるなあ」
「えっ、来ないつもりだったの!?やめてよ、私と井坂サン二人きりとか無理だからー」
きゃっきゃと屈託なく笑う。本当に悪気がないのだろうか。
サチは返信する気がないらしく、そのままケータイを放った。なんだか井坂サンが気の毒な気がして、私が返信を打っておこうと思った時だ。
「え?」
さっきまで3本立っていた電波が全部消えて、圏外になったのだ。
なんで、ここ、移動もしてないし…ちゃんと、電波入るはずなのに。
「愛?」
携帯を軽く振って電波を探していると、サチが私を覗き込んできた。
「…電波が、なくなった」
私がそう答えると、サチは一瞬固まったが、すぐににやにやと笑う。
「あー、愛。ほら、電波を通じてキちゃったのかも?」
「ちょっ、マジ…脅かさないでよ。マジびびるからっ」
「うふふー、いやいや冗談だよ。愛のケータイ、ソフバンじゃん?電波の入り難さに定評のあるって、よく愛が言ってんじゃん。もう、びびりだなーかわいー」
いや、確かにソフトバンクはあんまり電波利かないけど、ここのマックの中で電波なくなったことは一度も…いやいや、ない。ないわ。気にしたら、もっと悪くなるような気がして、私もケータイを放った。返信は、また、打てばいいし。氷の溶けたアイスティーを、ストローでおもいっきり吸い上げた。
マックを出るまで、私のケータイの電波は一本も立たなかった。
作品名:ひとりかくれんぼ/完結 作家名:笠井藤吾