ひとりかくれんぼ/完結
あとがき
あとがきは書かないタイプですが、今回ばかりは書かせてください。
私がひとりかくれんぼを書くにあたって、体験した怖い話です。
もともとひとりかくれんぼは軽い気持ち、それこそななみが鬼のあたりだけ書こうと思ってて、連載などはやる気がまったくなかったのですが、なんとなく続きました。
で、それはおいといてです。軽い気持ちで書き始めたひとりかくれんぼですが、最初のななみ編のところはそこまで自分自身で怖い、とは思わず。展開も何もかも掌握してんですよこちとら。文章の中の世界、怖いわけないじゃないか自分で。
しかし、兄貴のあたりを書き始めたあたりからなんだかじわじわ怖くなってきて、大学で執筆することにしました。人のいるコンピュータールームで書こう!ということだったのですが、大体、12時過ぎから作業して、帰るのは18時くらいですかね。15時を回ると、あまり人がいなくなるパソコン室なんですね。
まあじわじわびくびくしながら書くわけです。で、人形が出現するあたりかな。兄貴が廊下に出た人形に宣言するあたり。そこらへんから、背後に視線を感じました。つっても、私は霊感なんてありませんし、そもその幽霊とか!信じませんよ!いてもいいですけど怖いじゃない!あと、自分が暗示にかかりやすいタイプなのもよーっく知っていますので、気のせいだろうと。気にしないようにしていたんです。
で、16時過ぎかなあ。また後ろから視線を感じる。振り向いてみたけれども、部屋には2、3人、てんでばらばらなところでパソコンをいじっている訳です。目線を感じるにしても、遠いしな。気のせいいい加減にしろよな、と思いました。
しかし、17時。今度は、私の手に異変を感じました。私は、これとは別に、二次創作やら何やらで結構文章を書いているのですが、初めて、手が腱鞘炎みたいにつるんです。左手。そりゃなんかもうすっごく痛くて、作業中断したほどです。しかし、書きあげたい。書きあげてしまいたい、その一心で、左手をマッサージしつつ、書きたいところまで書きあげることができました。意思の強い私さすがです!と自画自賛をしていたその時です。
ガタン、と椅子が後ろから引っ張られたんです。さすがにびびって、後ろを振り向きました。しかし、部屋には誰一人として残っていなかったんです。私以外、誰も。正直、血の気が引きました。
で、次にお家に帰って画像の色変えをして、さー画像あげっぞ!って時です。私、よく、「瞬間、〜した」という表現を使うんですが、何かもうそういうレベルじゃなかった。
本当に突然です、私、部屋の真上を向いたんです。真上を向くとほぼ同時、いや、真上に視線を感じるのと、真上を向いたのは、ほぼ同時でした。なんかもう、順番とかなかった。言葉にできない、本当に本能的に、でした。いや、なんて言っていいかわかりません。とにかく、上を向いたんです。
でも、何もないんですね。そりゃそうだよな〜割と新築ですしね〜…なんて、首を動かして、ロフトの上を見たときに、いたんです。
サムネに使ったテディベアが、ロフトから、私のことを見ているんです。たまたま、撮影に使ったあとに放り投げておいた、その角度。偶然なんです。偶然に、目があった。しかし、あのモデルになった人形…とか、あー、怖かったです。私は。
でも、話に聞くとたいして怖くないでしょう?でも私本当怖かったんですよねその時ばかりは。なんてったって、井坂兄貴の家って、私の家をモデルにして書いているんですから…。
という、怖いようなそうでない話でした。
ちなみにこの出来事から、なぜか私の中の恐怖はすべて吹っ切れ、今は何の恐怖もなく書いてます。たまに手はおかしくなりますが。ホラーなんて、気の持ちようです。でもひとりかくれんぼはやめておいた方がいいと思います。
作品名:ひとりかくれんぼ/完結 作家名:笠井藤吾