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唯一神

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森に抜ける通路によく似た通路を歩みながら引っかかっている文を頭で整理しようとする。
マークされている? 一体誰に? どういう意味で? 嫌われ者? 異端?
そういえばおっさんと暮らし始めて、いやその前に引き取られたときもそうだ。
俺はおっさんが何をして生計を立ててるかなんて知らない。
でも、ここまでくれば何となくは分かる。
とりあえず一から整理すると、この一年と半年の間、おっさんは全く働いていない。ずっと俺に付きっきりで館に篭りっぱなしだった。
外に出るときは買い物に出る時くらいだ。それも一時間前後で毎回帰ってきていた。
と、言う事は貯蓄がかなりあったって事だろう。それはこの立派な館を見ても分かる。
じゃあどうやってそんな館を建てれるほど金を蓄えれたのか、という事だが。
あの銃やナイフ、それに知識。まず普通に働いて、なんて事は可能性として薄い。
だとすれば昔の戦争で功績を称えられて、大金を手に入れた。
可能性としては無くも無い話だ。
「おっさん? おっさんは元軍人だったのか?」
「おう、軍人だったぞ」
そっけない一言が返ってきただけ、もう少し突っ込んで聞いてみるか。
「やっぱり! じゃあ何か功績を挙げた事はある?」
「ん? それといってはないな」
功績を挙げてない? おかしいぞ?
「へえ、じゃあ給料みたいなのが多かったとか?」
それを言うと前から『ふぅ・・・』と溜息が聞こえてきた。
「殺し屋だ」
「え?」
「俺の職業が気になったんだろ? 今更だがな。ま、殺し屋だ。今から行く建物の主に雇われている」
「ちょ、ちょっと待て! じゃあ今までの訓練はその、元々俺を殺し屋に仕立て上げる為の訓練だったのか!?」
「兵士に育てる気は無いと言ったはずだぞ」
「それは、そうだけど・・・」
「お前はもう少し自分の頭で考える事を学べ、じゃないと・・・死ぬぞ?」
なるほどな、初めての訓練の時おっさんの笑顔がいつもと違うように見えたのもそのせいか・・・。
割り切るしか・・・ないのか?
俺はこのまま殺し屋の道を歩いていく事を。
もう、普通の人間らしい生活には戻れないという事を。
割り切って、受け入れなければならないのか・・・。
また一滴、涙が溢れそうになった。
「心配するな、この世界で真っ当に生きてる奴の方が少ない。それと勘違いするな。殺し屋として生きるか、この経験を経験と割り切って護身に留めるかはお前次第だ。誰も強要しない」
視野が広い。違う、俺が狭い。
そう俺が思った時、出口はすぐそこだった。
そして出口から外に出る直前、驚愕の事実を知らされる。
作品名:唯一神 作家名:Xin