x.eyes
後にそう呼ばれる大きな戦争があった。イクス王国とジス王国の境目にあるイクシャルという土地。長年その土地はイクス王国とジス王国の共同の領地となっていた。しかし、科学の発展と同時にイクシャルの土地を分析すると大規模な油田があり鉱山も多数あるということが判明した。それから二つの王国はこのイクシャルという宝の山を巡って争い続けた。……口に出すのもおぞましい、とても激しい戦争だった。家は焼かれ罪の無い国民達は惨殺された。女子供、老人などの弱者もおかまいなしに。一年程続いたこの戦争の結果、アディエルの父でありジス王国の国王であるミハイル・ムーブ・ジスはイクス王国の軍人に殺され、敗北した。王国の跡継ぎはアディエルしかいなくなった。まだ七歳の子供には戦争という現実と国王という権力は重すぎた。ジス王国は戦争に敗北したため、イクシャルという土地を手放す事と多額の賠償金をイクス王国に払わなければならなかった。そしてアディエル・ムーブ・ジスはジス王国現国王として在り続けている。……所詮形だけの国王にすぎないが。
「……これが私とアディエルの物語だ」
アディエルとの全てを語り終えて疲れたのか、ワイトはぐったりと座り込んでしまった。
作品名:x.eyes 作家名:獄寺百花@ついったん