漆黒のヴァルキュリア
第四章 女神達の黄昏 8
初めまして……かな? 黒騎士さん。
ボク、春日恵那。
やっぱり、神様は強いね〜……
はは、ボク、消えちゃいそうだよ……
エナに、悪い事しちゃったな……
……でも、やっと真相が分かったから……
ボクは、土地神に嫌われてて、フレイヤに預けられて……
でも、ボクが信じてるのはダイウスだから、ヴァルキュリアになる気はないって断ったんだ……
そしたらフレイヤは、『ボク』を封印して、もう一人のボク――エナを作って。彼女をヴァルキュリアにしたんだよ。
ボクは……きっとこのまま消えちゃうよね……
……でも……
ねぇ黒騎士さん。響七郎……ってエインヘルヤル、知ってるかなぁ?
知らなくてもいいや……あのね?
響七郎に……ごめんね、って言ってくれない? ボクのせいでエインヘルヤルになって……恨んでると思うんだ。
でも……ボクは恨まれても、一緒にいたかったんだよ……
昔遊んであげたあのコが、目の前で砕け散って……
ボク、悲しくて……
気が付いたら、手を差し伸べてた。
死に様が死に様だったから、記憶も曖昧みたいで、ボク、自分から名乗ったりはしなかったけど……
響七郎、すっかりかっこよくなっててさ……
ちょっと、気付いてもらえなかったのが、残念かな……
……未練……だよね?
黒騎士さん、やっぱり、今言った事忘れて。
響七郎がボクの事思い出してなかったら、それでいい。ワザワザ悲しませること……
ないもんね。
じゃあ、さよなら……
作品名:漆黒のヴァルキュリア 作家名:山下しんか