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漆黒のヴァルキュリア

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第四章 女神達の黄昏 5



 メセージを受け取り、俺は、ようやく腑に落ちた。
 エナとは、恵那の上に書き込まれた別人格。
「そうか……だから……」
 やはり、フレイヤは知っていた。だからこそ、俺をエナに付けて送り込んだのだ。この、『俺達の生まれ故郷』に。
 なら――
 エナが恵那だというのなら、俺はアイツを護りたい。護らなきゃならない。幼い頃に受けた心の傷を癒すために、伝えたい言葉があるから。
 俺は鞘に収まったサーベルを握り、立ち上がった。
「行くんですね、エナお姉さんの所に」
「ああ。お前はここで待ってろ」
 紳太の言葉に、その一言を返す。現状で、参謀の出番はない。ここは『戦える者』の出番だ。
「私はいかが致しましょう?」
「姐さんへの報告があるんだろう? 安全圏から見てればいいさ」
 俺の言葉に、フギンは無言で肩を竦めて見せる。
「黒騎士さん、僕との約束憶えてますよね?」
「ああ、必ず戻る。いい子で待ってろ」
 俺は紳太に笑って見せると、フルフェイスヘルムを被った。そして、虚空へと浮かび上がる。
 神のように瞬時に移動することはできないが、アストラル体のこの身体は、空を飛ぶことは出来るのだ。それも、かなりの速度で。
 俺は、エナと――そして、恵那が待つその場所へと向かった。