漆黒のヴァルキュリア
第三章 これぞ勇者! いろんなイミで! 8
『神世紀ゴッドブレス』オープニングテーマ『CuteでCultにEXPLOITATION!』
作詞:市ヶ谷くろーぜっと
作曲:酔狂先生
歌:市ヶ谷くろーぜっと
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ
神の名の下 秘密セミナー
罪を清めてさしあげます
我らが仕える偉大なお方
EXPLOITATION!
(EXPLOITATION!)
EXPLOITATION!
(EXPLOITATION!)
神の化身でございます
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ YEAH!
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ WOW! WOW!
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ OH! YEAH!
色即是空 空即是色
仏の慈悲で 秘密の修行
悟りの力を与えます
未来を見通す偉大なお方
EXPLOITATION!
(EXPLOITATION!)
EXPLOITATION!
(EXPLOITATION!)
仏の化身でございます
OH! 色即是空 空即是色
不生不滅 不垢不浄 YEAH!
究竟涅槃 三世諸仏 WOW! WOW! WOW!
色即是空 ハレルヤ YEAH!
ハレルヤ ハレルヤ 三世諸仏 WOW!
世界に真理を 宇宙の悟りを!
天国極楽 辿り着くため
EXPLOITATION!
EXPLOITATION!
会場全体が、沸いていた。
吹き抜けの上階では、身を乗り出して落ちそうになっている者が何十人といる。
そして、エナと天女の眼下には、ひしめく群集が狂喜していた。
「くぅ〜……マズいですわねぇ。『標的』の姿もありますのに……」
エナの頭の上で、ムニンが呟く。見れば、天女はゴスロリ少女の姿となって、しかも普段よりもずっと幼い容姿になって元気に跳び回っている。
「くやしいけれど、カワイイですわ……これを上回るインパクトなんて、そうそう……え?」
クチバシの先で歯軋り音を奏でていると、不意にムニンの視界が揺れ、刹那、エナの身体がくず折れた。
「ふふん。神でも精霊でもない、中途半端な身には、この状況はキツいやろ〜〜〜……なんせウチでさえ、実体化したままで戻れへんねんからな!」
天女の言葉に、ムニンがエナを見ると、その両目は明らかに渦を巻いていた。
「ちょっとエナっ? なにロコツに気絶してるんですの!?」
言って、思い切りクチバシで頭をつつく。
一筋血が吹いたが、しかしそれでもエナは目を覚まさない。
「あらら、勝負にもならへんかったかぁ〜〜〜ほな、もう一曲ウチ歌いま〜〜す!」
天女がそう言って、再び会場が沸いた。
が、直後に天女がトーンを落としていく。
この瞬間、会場の盛り上がりは、天女へのものではなかった。
おもむろに、エナが立ち上がる。その髪が、金色から漆黒へと塗り変わっていく。そして、エナが勢い良く顔を跳ね上げた。
「……お待たせムニン! んじゃ、いっくよぉ〜〜〜っ!」
右手にマイクを現出させながら、黒髪のエナ――恵那は、両手を広げた。刹那、恵那の装束が軍服へと変化していく。
「……ま、まさかアレは……?」
「ね……根尾那智香ちゃん……?」
「ってコトは……」
期待に目を輝かせている眼下の群集にウィンクをすると、恵那は高らかに宣言した。
「二番! 春日恵那、歌います! 『特攻隊長桜花くん』挿入歌・『後藤月光切り込み隊』!」
その宣言に、一瞬静まる会場。だがその直後、
『うを〜〜〜〜〜っ! 桜花くんキタ〜〜〜〜〜〜っ!!』
作品名:漆黒のヴァルキュリア 作家名:山下しんか