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ツンデレってなぁに、おいしいの?

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「喉渇いた。」
唐突に聞こえたその声に驚きながらもPCから目は離せない。いま俺は絶賛原稿中で、締め切りは2日後なのだ。あいつの独り言にかまっている場合ではない。
今の季節は夏。
太陽が眩しく、外からは蝉が忙しなく鳴く声が聞こえる。
この夏が終われば俺の高校では文化祭がある。ウチの部は毎年恒例の部誌を発行する予定だ。
で、現在俺はその部誌に寄せるための小説を書いている途中だ。
ところで、目の前にはPCがある。
実はこのPC、先週に故障し、昨日修理から帰ってきたばかりだ。
悲しいことにハードがイカレてしまったとのことで、データがすべて吹っ飛んで、だが・・・・・。
「・・・・最悪だ」
紛うことなく最悪。今まで書き溜めていた小説や、苦心して集めた画像や音楽が全部全部消えていた。
「・・・・・・俺のミク・・・・・はぁ。」
もう二度と手に入らないような限定ZIPもあったというのに・・・こんなことならバックアップしておくべきだった。
しかし何時までも後悔していても仕様がない。何、これからまた集めればいいさ・・・。
と自分を慰めてみるもやはり溜息が出てしまう。
「まぁ・・・いつまでも後悔はよくねーな、よくねーよ・・・・うん。」
治っただけマシとしよう・・・。
きっと暫くネット漬けだろうなぁ。
っちゅーか、締め切りに間に合うのかコレ・・・
そんなことを思いつつキーボードを叩く手を休めない。
唯一の三年である自分が締め切りを破るわけにはいかないからだ。
「喉渇いたー」
今度は背中にずしりとした重みをもって聞こえてきた。どうやら俺に話しかけていたらしい。
「で?」
返す声は冷たい。当たり前だ。
いま俺が何をやっているか、なんて一目瞭然だろうて。生憎、こいつの戯言に付き合う余裕は今は持ち合わせていない。
だが、
「何か飲み物持ってきて?」
まるで気にしていないかのように(実際気にしていないんだろーけども)傍若無人な返事が返ってきた。
「・・・・・フザケンナ。自分で取ってこい。」
「えー。でも人ン家の冷蔵庫開けるなんてオレ様にはできないなー」
毎日のように入り浸っている癖に何を言うか。
「俺が許可する。自分で自由に飲んでいいから。」
だから放っておいてくれ、と視線に込めて後ろの馬鹿を睨む。
「んー。じゃ、良いよ。」
「何だよソレ。」
そんな戯言に付き合っている暇なんざねぇんだよ。
そう言ってまたPC画面に視線を戻して、キーボードを叩き始める。