Happy New Year!
新年になると空気まで新しくなったように感じるのは、たぶん幸せなことなのだろう。
地元の小さな神社でも元日はさすがにかなり混み合うから、初詣は親戚への挨拶回りとかが終わった三日くらいに行くようにしている。
どうせアイツが早めになんか来ることはないと分かっていたけど、いつものクセで待ち合わせの30分前には到着してしまったので、神社の中をブラブラしながら時間を潰していた。
境内に鳴り響いている雅楽のCD演奏が神聖な高揚感をもたらしてくれる。
去年までは家族と一緒に来ていたのだが、今年は俺だけ別行動で両親や妹が来る前の午前中に参拝することにした。
待ち合わせの時間になってもアイツは来ない。
まあ、これも予想できていたことだ。これくらいでは動じない。正月くらいは大らかな気持ちでいたいので携帯を手にすることもなく、そのまま入口近くでノンビリと待つ。
30分過ぎてもアイツの姿は見えない。
俺が神社に来て1時間が経過したことになる。まあ、30分早く来たのは俺の勝手だ。だったらアイツが30分遅れたっていいじゃないか。そんな聖人のような心持ちで自分を落ち着かせる。
1時間の遅刻で確信した。アイツはまだ寝ている。
俺はコートのポケットから携帯を取り出すと、怒りのモーニングコールを送った。
しばらく呼び出し音が鳴った後、能天気に明るい声が耳に響く。
『おっはよー!』
「……おはようじゃねーだろ」
『あれ? だって、あけましておめでとうは元日に電話で言ったじゃん』
「そうじゃない。今の時間分かってるか?」
『え〜と……ああ、11時だねえ』
「待ち合わせの時間は何時だ?」
『う〜ん、12時……だっけ?』
「10時だ」
『ああ、そっかあ。ちょっと遅れちゃったねえ』
「……」
『そんなに怒んないでよぉ、これからパパッと着替えてダッシュで行けば30分もかかんないからさあ』
「……走らなくていい。ゆっくりでいいから左右をしっかり確認しながら慎重に歩いて来い」
『うんうん、分かったあ』
プツンと電話が切れると、俺は新年の青空を眺めながら小さく溜息をついた。
地元の小さな神社でも元日はさすがにかなり混み合うから、初詣は親戚への挨拶回りとかが終わった三日くらいに行くようにしている。
どうせアイツが早めになんか来ることはないと分かっていたけど、いつものクセで待ち合わせの30分前には到着してしまったので、神社の中をブラブラしながら時間を潰していた。
境内に鳴り響いている雅楽のCD演奏が神聖な高揚感をもたらしてくれる。
去年までは家族と一緒に来ていたのだが、今年は俺だけ別行動で両親や妹が来る前の午前中に参拝することにした。
待ち合わせの時間になってもアイツは来ない。
まあ、これも予想できていたことだ。これくらいでは動じない。正月くらいは大らかな気持ちでいたいので携帯を手にすることもなく、そのまま入口近くでノンビリと待つ。
30分過ぎてもアイツの姿は見えない。
俺が神社に来て1時間が経過したことになる。まあ、30分早く来たのは俺の勝手だ。だったらアイツが30分遅れたっていいじゃないか。そんな聖人のような心持ちで自分を落ち着かせる。
1時間の遅刻で確信した。アイツはまだ寝ている。
俺はコートのポケットから携帯を取り出すと、怒りのモーニングコールを送った。
しばらく呼び出し音が鳴った後、能天気に明るい声が耳に響く。
『おっはよー!』
「……おはようじゃねーだろ」
『あれ? だって、あけましておめでとうは元日に電話で言ったじゃん』
「そうじゃない。今の時間分かってるか?」
『え〜と……ああ、11時だねえ』
「待ち合わせの時間は何時だ?」
『う〜ん、12時……だっけ?』
「10時だ」
『ああ、そっかあ。ちょっと遅れちゃったねえ』
「……」
『そんなに怒んないでよぉ、これからパパッと着替えてダッシュで行けば30分もかかんないからさあ』
「……走らなくていい。ゆっくりでいいから左右をしっかり確認しながら慎重に歩いて来い」
『うんうん、分かったあ』
プツンと電話が切れると、俺は新年の青空を眺めながら小さく溜息をついた。
作品名:Happy New Year! 作家名:大橋零人