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だれか姉ちゃんを止めてくれ!

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 多分この世界は俺達が思っているより難しいんだと思う。だから皆に愛を振りまいて生きるなんて実現できない理想なのかも知れない。
 でもだからこそ姉ちゃんはその為に生きようとしているんだろう。他の人が無理と言ってやらない事を実現させる為に。
 だったら少しくらい迷惑かけられても守ってやろうじゃないかと思った。

 ――のがつい数時間前。現在後悔の真っ只中。現在の状況はと言うと
 1.アラームがマナーモードで鳴らず寝坊した。
 2.裸の姉がしがみついていて身動きが取れない。
 3.いつまで経っても現れない俺たちを心配して郁奈子とタッちゃんが家まで迎えに来た。
 4.呼んでも出てこないので様子を見に俺の部屋に入る。←今ココ
「涼君もナッちゃんも朝から仲の良いことで」
 タッちゃんはニコニコと笑う。その隣で鯉のように口をパクパクと開けて固まる郁奈子。
「な……なな……ななな……」
「よ、よぅ」
 努めて明るく挨拶する。そんな俺達に向かって……
「何やってんのよアンタ達はぁっ!!」
 怒りの叫びと共に踏みつけられる踵。寝ている姉の背中に今一撃が繰り出されようとした、その刹那――それはスルリと避けた。踵を受け止める筈だった姉が位置を変えたので、ちょうど踵は……俺のみぞおちに炸裂した。
「うぼあぁぁっっ!!」
 不意に訪れた衝撃に意識が飛ぶ。薄れゆく意識の中、最後に俺が見たのはニヤリと邪悪に笑う姉の顔だった。

 やっぱり面倒みるのは無理かもしんない。
 だけど守るって言ってしまった手前、頑張らないといけないんだろうな。何であんな事言ったんだろう。
 そんな自責の念に駆られながら涙を流す。まぁいいや、とりあえず先のことは後で考えよう。目が覚めた時には良いアイディアも浮かんでくるだろう。
 今までもなんだかんだでうまくいったんだ、きっと大丈夫さ。

 そしてとりあえず今は気絶することにした。良い夢が見られるといいな。ガクリ。