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グリーンオイルストーリー空の少年たち3

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二人は、川沿いに向かって走りだした。
男たちは追いかけてこない。
川のそばに来ると、川の流れは速い。
川の流れにハンドルをとられないようにしないと、横転して川に落ちてしまう。
ジリアンには力がなく、レインは右腕が利かない。
ジリアンが悩んでいると、レインは「代わろう。」とジリアンの右肩を握った。
「大丈夫なの?腕痛めたんでしょ。」
「両足で踏ん張れば、左腕だけでもハンドルをとられないでいけるよ。」
ジリアンはしぶしぶ交代したが、レインの右腕はハンドルが握れなかった。
川沿い間際にくると、ハンドルの下のボタンを押し、エアバイクの底からジェット蒸気が噴射し、川面に乗り上げる。
レインは立ち上がって両足を前後に踏ん張り、ジリアンはレインの背中にしがみついた。
左手でハンドルをとられないようにして、レインは歯を食いしばった。
荒い波がエアバイクを襲うと、レインはボタン操作で底からジェット蒸気を出し、バイクを回転させて横転しないようにした。
なんとか、オホス川を渡りきったが、勢いで、地面に滑り込み横転した。
そのとき、レインはハンドルを放したので、ふたりはバイクからほうりだされた。
二人は受身をとったので怪我はしなかったが、レインは痛めた腕をさらに地面に打ちつけた様子に叫び声をあげた。
「うあぁ。」
ジリアンは泣きながら、起き上がって、バイクを起こし、レインを抱きかかえるようにして、乗せて、ハンドルを握ってバイクを走らせた。
「うっ、うっ、うっ。」
「くぅ〜う。」
レインは痛みを堪えるのに必死だった。
ジリアンは泣きながら、ハンドルを握り締め、自分を見失っていた。

二人はドックの崖の下入り口にたどりつき、バイクとレインを置いて、ジリアンは中に向かって走りだした。
「キャス!キャス!」
走りながら、叫んだ。
ジリアンがたどり着いたのは、住居スペースで、吹き抜けになった場所だった。
「キャス!キャス!どこにいるのぉ!」
ジリアンは泣き叫ぶと、その声は反響した。
何事かと、カスターは食堂から、飛び出し、吹き抜けのフロアに出てきた。
カスターの姿を目にしたジリアンは、後ろを指差した。
「レインが、レインが大変なことに」
カスターは、いつになく取り乱したジリアンをみて、ただ事ではないことを感じた。

ジリアンの叫び声を聞きつけたロブは地下の作業場からあがってきた。