小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

グリーンオイルストーリー空の少年たち3

INDEX|5ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 

スタンドフィールド・ドックの岩山の頂上に、レインとジリアンのまんなかにロブがいて、三人は夜空を見上げながら寝そべっていた。
「あれが北極星だ。北はあれを目印に。太陽が昇る方向が西で、夜なら月もそうだ。」
指をさしならがら、方位を知る術を教えてくれた。
星座の話などは、物語を聞かせてくれて、覚えやすくしてくれた。
「地上でも空でも道に迷ったら、方角を確認するんだ。」
夜空にキラキラと輝く星たちに、目を輝かせてみていたレインとジリアンはこころを奪われていた。
両手で二人の肩を抱き寄せたロブは、この二人がいづれ家族をもつようになってもこうやって自分たちの子供たちに教え伝えていく姿を思い描いていた。
3人は、夜空を見上げて、思い描く未来を重ねてみていた。

ジリアンは、校庭のまんなかでうつぶせに寝そべっていて、ラジオを聴きながら、手元の紙に書き込んで空を見ていた。
ラジオから流れているのは気象情報だった。
紙に天気図を書き込み、空の具合をみて確認していた。
校庭に風が強く吹きこむと、足元においてたリュックが転がり始めた。
チャックが開いていたので、中から皮手袋がでてきた。
ジリアンは天気図を飛ばされないようつかんで、皮手袋をつかんだ。
それは、フレッドの遺品だった。
ロブがジゼルに頼んで、ジリアンの手の大きさに作り直してもらったものだ。
ジリアンはそれを手にとって、思い出していた。

スタンドフィールド・ドックの岩山の頂上に、レインとジリアンを膝の上に乗せて、空にある雲を指差しながら話をするフレッド。
「雲粒ひとつひとつに働く力や下にむかっていく気流による力と、雲粒ひとつひとつを支える上にむかっていく流による力がつりあうことで、雲は空に浮かぶんだ。」
積雲や積乱雲が形成されること、大気が安定しているときに層雲や高層雲などが均一に広がることが多いことなど、あらゆる雲の形のときがどういう常態かを話していた。
二人は操縦桿を握り、空を飛び、雲を突き抜けるさまを想像していた。
大きな体でふたりを包み込むように抱きしめるフレッド。
どんな冷たい風が吹きつきようとも、二人は寒く感じることはないとさえ思えた。
われに返ったジリアンは皮手袋を握り締めて、もうフレッドに抱きしめられることがないと思った。
校庭にクラクションが鳴り響いた。
レインがジリアンを呼んでいたのだ。