がけっぷち生徒会
俺はわくわくして来栖君がパソコンから今日の感想をプリントアウトするのを待っていた。えさえさはなぜかじっと手のひらを見て考えこんでいた。マーブルはというと自分の髪の毛を触りながら遠い目をしていた。
「では読み上げますね。今回の朝の件ですが正直引きました。今後こういうことはやめて欲しいです。 ご飯よりパン派さんより」
「……」
「正直意味が分からなかったです。会長辞めさせよう同盟さんより」
「たまにはまともなことをやってください。 ティッシュよりも愛が欲しいさんより」
「雷電会長。先月貸したCD早く返してください。 2年C組34番より。あ。これは違いましたね。失礼いたしました。では次の……」
「もういい……」
「まだありますがよろしいんですか?」
「ああ。もういい……」
俺はとても立っていられず近くの席に抜け殻のように座った。何がだめだったんだろうか。さっぱりわからない。やっぱり決め方が悪かったんだろうか。ダーツにしておけば良かったのかもしれない。
「雷電会長。これで来月の投票が楽しみになりましたね。私はこれから来月の会長選挙の準備をしなければいけませんのでこれで失礼します。では。くわっはははあはー!」
マーブルは勝ち誇った笑いをしながら生徒会室を後にした。生徒会にはマーブルの香水の匂いが残った。臭いんだよ。
「かいちょうさん。わたしきょうははやくかえってふうとうののりづけのないしょくをしないといけないんです。なのでかえりますけどげんきだしてください。きっとつぎはだいじょうぶですから」
「ああ。ありがとうえさえさ。内職頑張れよ……」
「はい! さよならですー」
えさえさは元気よく生徒会室から出ていった。なんて不憫な子なんだろう。俺の目からはいつの間にか涙が溢れ出ていた。
「会長。私も上がりますけどよろしいですか?」
「ああ。気をつけて帰れよ。お疲れ様」
「会長。私も何かいい方法がないか考えてみますので。それではお疲れ様です」
そう言うと来栖君は生徒会室から静かに出て行った。なんていい子なんだろうか。ごめんな。米とか言っちゃってさ。俺はしばらく生徒会室で袖を濡らしていた。