食べたいもの
この御蔵市には、都市伝説がある。
『ささやかな三つの願い』と呼ばれるその都市伝説は、ちょっとした幸せを与える精霊の話だ。
「ささやかな三つの願いを叶えましょう。そして、その願いにそった『ちから』を貴方にあげましょう」
と、人の形をした精霊が話しかけ、願いを叶えると立ち去ってしまう。
何故叶えるのかも、何故『ちから』をくれるのかも分からない。
ただ分かっているのは、ささやかなことが叶うということだけ。
「さあ、貴方は何を願いますか?」
『食べたいもの』
身体が冷えていく。いつもの表面だけ冷えるという感覚じゃなく、芯から冷える、身体の熱が出るところでさえ、凍るという感覚。……寒いことすら感じなくなる、そんな寒さだった。
世界から見捨てられた、と思った。――そう思う方が、楽だった。
『ささやかな三つの願い』と呼ばれるその都市伝説は、ちょっとした幸せを与える精霊の話だ。
「ささやかな三つの願いを叶えましょう。そして、その願いにそった『ちから』を貴方にあげましょう」
と、人の形をした精霊が話しかけ、願いを叶えると立ち去ってしまう。
何故叶えるのかも、何故『ちから』をくれるのかも分からない。
ただ分かっているのは、ささやかなことが叶うということだけ。
「さあ、貴方は何を願いますか?」
『食べたいもの』
身体が冷えていく。いつもの表面だけ冷えるという感覚じゃなく、芯から冷える、身体の熱が出るところでさえ、凍るという感覚。……寒いことすら感じなくなる、そんな寒さだった。
世界から見捨てられた、と思った。――そう思う方が、楽だった。