小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

藤堂桜　　2011-06-02 20:58
【音村→綱海】
世界の調和が崩れた。たった一音が抜けただけなのに噛み合ない。呼んでも声は聞けなくて、振り向いてもそこにはいなくて、いつもいた海にだって姿はなくて。他で埋めようとリズムを組んでも歪に響く。「案外お前は大きかったな…」頬が濡れるのは組めずに零れる音が溢れるせいだと音村は唇を噛んだ。

藤堂桜　　2011-05-10 20:38
【音村→綱海】
携帯電話を片手に、部屋の隅で動かずジッと。電池が切れるのが怖くてコードは差したまま。暫くして震えれば『高校合格』のメール受信。耳を塞いでノイズ音を流していれば他の余計な音は聞こえてこないはずなのに、心拍音が五月蝿くて苦しいから「おめでとう」だけ手早く送り返してベッドに潜り込んだ。

藤堂桜　　2011-01-30 15:41
【音村→綱海】
浅黒い肌に色素の薄い髪。見る度に雑音が聞こえてくる。耳を塞いでも、寝ていても、終始五月蝿く響くあの音は、何よりも何よりも煩わしい。それなのに、いざ雑音の原因が消えそうになると悲しくなった。「音村、オレあいつらとサッカーする」あぁ、雑音がアイツの声を飲み込んで胸が裂けそうに痛み出す