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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』
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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』[小説コミュニティ]

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勇者ノベリットの冒険

かざぐるま}
かざぐるま
勇者は村を出た。装備も魔法もまだ持っていない。とりあえず北の森に向かってノベリットは歩き出した。そこに突然!!
2013-07-11 19:30:04

コメント (192)

匿川 名  2019-07-28 23:21


むー・・・途中、現実の方で若干茶々が入ったりしたのであんまり進みませんでした(滝汗
でも今日はここまでにしようと思います。
そんなわけでノベリットは邪悪な魔法使いの襲撃をかわしたのですが、マナ、カナは救ういとまが無かったので放置です。
カイザーはヒトとしての姿を失いました。
助けに入ったドラゴンはチビドラです。
亀(ヴィットルタ)が死んだので世界は『端』から絶賛崩壊中です。
意外と一番ダメージが少ないのはアニエスかもしれません。今のところ、多分(謎
種田さんはあんまりナイスタイミングで助けに入ったので、実はもう少し隠し事がありそうですが、それがなんなのかは・・・よく分かりません(大爆

テキトーな書き殴りですが、たまには良いですねえ。
肩が凝らないです。
いつかまたやってみたいような気がするので、このトピックばかりやたらに更新されていたら・・・『ああ、また遊んでら』と大人目線でどうかご容赦ください!

匿川 名  2019-07-28 23:12
朽ちたカイザーの体躯から、その中心となる胴を抱えたままノベリットは竜の首元へと駆けた。
竜はまた器用に首を地に下げ、そこにノベリットは身体を滑らせた。
その側に一度は雲散した黒い霧がまたその姿を現しつつあった。
邪悪な牙を持つ黒い犬の亡霊が襲いかかろうとしていた。

しかし、竜は一際強く羽ばたくと一気に宙へと舞い上がった。
その上で身を翻す。
『落下する』と見せかけて牙を剥き、があっと吐息を溜め込むと、一気に膨大な炎を吐き出して霧へと注いだ。
猛烈な破邪の火焔に包まれて、流石の霧も焼けて失せた。
きっと束の間ではあったが悠然とそれを眼に収めると、竜は宙の中で踵を返し、墜ちた陽の方へと向けてノベリットらを背に乗せて高速で滑空を始めた。

匿川 名  2019-07-28 23:05
轟音に破裂するかのように胎が雲散する。
黒龍の牙が穿ったのか、伝説の剣が放った白い雷の影響か。
閃く猛烈な光に眼を奪われつつ、ノベリットが見たのはそのいずれでも無い光景だった。
激しく強い横風が舞い足下すら揺らぐ。
だがそれは爆散した何かのためでは無い。
それは単に『羽ばたく猛威』のためだ。
白む視界の中から影のように浮かび上がるのは、本物の『竜』の姿だった。
巨体の下に守るのは、その破裂した胎の中から倒れる二人の姿だった。

「――――間に合ったようですね」

種田が安堵したかのようにそう言った。
竜は土埃を巻き上げるように深く大きく羽ばたき続け、ノベリットを見つめた。
翡翠のような緑の眼は、ノベリットに向けて急くように伝えていた。
「さあ、急がないと!」
その種田の声にはっと気がついたかのようにノベリットは動いた。
竜の下に駆け寄り倒れたカイザーを抱き起こす。
種田はアニエスを肩に担ぐように抱え、竜の脇に回り込んだ。
竜は起用に首を曲げ、低くなったそこから種田は竜の背に乗り込んだ。
ノベリットがそれに習おうと力を入れると、
――――脇を抱き、掴んでいたはずのカイザーの左腕が、肩からもげた。
千切れた肉からは乾いた煙のようなものがかさかさと漂った。
驚くノベリットの目の前で、カイザーの肉体はぼろぼろと朽ち始めていた。

――――最後の変身――――

ノベリットの中でその言葉が蘇った。
カイザーはヒトとしての姿を今、永久に失ったのだ。
どこか笑顔を結んだような首が、顎の辺りからむちむちと千切れて頭頂部から地に落ちた。
その千切れた根元からはまた煙のような粒子がかさかさと立ち上った。

ならば、とノベリットは胸と腹を抱えた。
自分の思いが正しければ、きっと、きっとカイザーは『そこ』に居る。
犬の姿となってでも、その中でまだ命を保っているはずだ。

匿川 名  2019-07-28 22:50
ノベリットは一度俯くと、すうと深呼吸をして見せた。
種田が握っていたノベリットの手を離した。
その掌は既に砥石を握りしめており、力がしっかりと込められていた。
「例え、それが真実であったとしても、真実なのだろうけど――――」
ノベリットはぼそりと呟いた。
「俺の背はヒトよりも高くない――――その詩人は嫌いだ」
ノベリットが紡いだ言葉に種田は微笑んだ。

「さあ、もう時間がありません。今すぐその砥石を剣に」

「ガチャガチャ言うな!
 知るか!何が起きても俺のせいじゃねえ!
 でも――――やってやるさ!
 『それ』ができるのが、俺しか居ないんならな!」

ノベリットは絶叫した。
そして左手にひん握った砥石を乱暴に伝説の剣にあてがった。
瞬間、火花が舞うよう無い勢いだった。

その時、

白い雷が轟音を伴い、剣から宙(そら)を突き上げた。
耳をつんざくその閃きに、ノベリットも種田も目を閉じた。

さらに時を同じくして、龍が如き蜷局巻く黒雲から、襲いかかる牙のような雷が地上に纏まる胎に襲いかかった。
轟音に轟音が被さり、世界を震わせたその時、

加えてそこに被さるのは、もうひとつの咆吼だった。

匿川 名  2019-07-28 22:40
「くそっ!」
ノベリットはそう吐き捨てた。
「くそっ!くそっ!くそっ!無責任だろう?!なんでそんな役目を俺に押しつける?!」
そしてひたすらにかぶりを振る。
「ご覧なさい」
しかし種田は淡々と告げて、ノベリットの前に広がる光景を改めて示した。
そこには姉妹が斃れていた。
命はおそらく、そこには無い。
黒く闇が結実した胎は、裂する刻を今や遅しと待ち構えている。
その満ちた球をを割るのは、きっと黒龍が如き雷雲の一撃だ。
そしてその中には今、皇と女剣士が籠められていて、生き死にの総てを此処に居すらしない邪悪に握られているというわけだ。
ノベリットはその事を思い、今一度種田の方を振り向いた。
「出会いはきっと偶然、運命などでは無かった。だけど貴方はここまで彼らとともに在って、今それらが総て無に帰そうとしている。止めなさい。止めるべきだ。貴方の中に一抹にでも振り返り彼らを思う心があるのなら」
種田はさらにそう続けた。

匿川 名  2019-07-28 22:31


あ、ビールが無くなっちゃいました(←急に現実トーク
今のBGMなんですが、モリッシーのI'm Ok By Myselfです。
iPhoneで何となくかけていただけなんですが!
もう少し飲みたいですけど・・・ここは我慢ですね。

では、懲りずに続けましょうか!

匿川 名  2019-07-28 22:13
「甘えるのもいい加減にしろ」
種田はそうノベリットに告げた。
酷薄な言葉とは裏腹に、その言葉は暖かかった。
ノベリットはその暖かさを感じながら、どうしてそういう風に言葉を紡げるのかが不思議だったので、呆然と種田を見返すことしか出来なかった。

「この世界はどこまで行っても理不尽なものだ。誰だってそう思っている。それか、気づいていても知らない振りをする。分かってないつもりになる。不公平、不平等――――それでもそれはどうにもならない。ある詩人が言った言葉だ。『誰かの背は誰かよりも大きい』。それはまさにその通り。しかしそれを嘆いても、誰も何かをしてくれるわけでは無い」

種田の言葉は鋭利だった。
なのに、その底流にはずっとある種の暖かさが備わっているようにノベリットは感じた。

「他人の背の高さを受け入れるしか無い。生まれた家の貴賤を受け入れるしか無い。その中で足掻いてヒトは生き続ける。昇るも墜ちるも自分次第というわけだ。しかし――――それでも覆い返しがたい事象は存在する。例えば、その剣は貴方を選んだ。揮いたくとも私にはその資格が無い。そして、

今、
この場を収めることが出来る可能性を持つのは、
実に貴方ただひとりしかいない」

種田はそう呟いて、ノベリットの剣の柄をぐいっと持ち上げ、目の前にかざした。
そこには――――

『掲げて撫でよ』

見た言葉が変わらずそこに浮かんでいる。
しかし、それはまた彼に向け告げ戻したようにノベリットには感じられた。
それは剣の意思、剣の言葉。
ならば同じ言葉であったとしても、切実に求め彼に告げ直したものであったとしたら、
同じ刻みであったとしても、彼に与える促しは異なる重さを持ちうるのだろう。

匿川 名  2019-07-28 21:52


『亀』が崩れたことで、世界は崩壊への途を歩み始めた。
今、それは『端』に過ぎないのかも知れない。
しかしあらゆるものに『要』は存在するのであって、それが砕かれてしまえば包括的な崩壊は免れない。
『亀』は当に『要』であった。
その亀の死は『星を飲み喉につまらせた死んだどこかの亀』と同じで、この世界を背に乗せる雄大な存在であったため、有象無象はその上で這うだけの矮小な塵芥も同然と言えた。
聞く者が居ればがらがらという崩壊の序曲が聞こえたことであろう。
だがその崩壊の規模はあまりにも大きく、かつ『端』から始まるため、聞く者は寧ろ存在しなかった。
今、この世界に存する者で、その崩壊を止め、或いは留める者は全く存在しない。

匿川 名  2019-07-28 21:42
「――――駄目だ」
伝説の剣に砥石を重ねるまさにその寸前で、ノベリットの手が止まった
ぱたりと両の手をそのまま体側に垂らす。
剣は力なくその切っ先を大地に下ろし、砥石は掌からずるりと滑り落ちかけた。

その時、種田がそっと手を伸ばして、砥石を掴むノベリットの手を自らの両手で包んだ。
砥石は辛うじてノベリットの手の中に残った。
ゆっくりと力を込める種田の指にノベリットは震えた。
そこには、信頼があった。
きっとそれは伝説の勇者に捧げる無闇な期待だ。
そしてノベリットにはその信頼が、途方も無く、怖かった。
「諦めてはいけません。貴方こそは――――」
「違うんだ!」
ノベリットは語りかける種田の声を制して叫んだ。
「自分は勇者なんかじゃ無い!
 なんでそんなことを言うんだ!
 自分は、ただ、ただちょっとした名声が欲しかっただけの流浪者に過ぎないのに!
 こんな砥石なんていらない!勇者の剣なんて知らない!迷惑だ!迷惑千万だ!」
そして左手に力を込めて、種田の手を振り払おうとした。
しかし、種田はその手を離さない。
泣き顔でノベリットが首を左右に振る。
駄々っ子がそうするように、みっともなく、言葉にならない大声をわあわあと上げながらノベリットは種田の手を振り払おうとし続けた。
すると、種田の右手がノベリットの左手からずるりと離れた。
逃れる――――
とノベリットが思った次の瞬間、
――――種田の右手が横薙ぎにノベリットの頬を乾いた音を立てて叩き付けた。

匿川 名  2019-07-28 21:30
落ちよ、落ちよ、墜ちよ。

男は水晶球の上にひらひらと、両の手を枯れた蝶のようにかざしながら、恍惚の呪詛をただ述べ続けた。
その中に映るのは黒く閉じた球だった。
塵のように薄く粉舞うそれは、カイザーとアニエスを内に閉じ込める胎そのものだった。
はあはあと息遣いも荒く、男はぎらぎらと怪しく刮目したままで呪いの完成を待っていた。

落ちよ、落ちよ、墜ちて焦がせよ。

男の邪悪な祈りに応じて黒雲が空に舞う。
蛇蝎のような『それ』は、或いは凶兆の竜のように天空を舞い、命在る魔のように地上の球を、或いは黒き胎を睨めつけるかのようだった。

その竜の体躯に白い鱗の模様が這う。
空に低く轟く地響きのようなそれは、男が編む邪心の拳で、
詰まりは、
雷の姿をしていた。

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