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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』
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バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』[小説コミュニティ]

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勇者ノベリットの冒険

かざぐるま}
かざぐるま
勇者は村を出た。装備も魔法もまだ持っていない。とりあえず北の森に向かってノベリットは歩き出した。そこに突然!!
2013-07-11 19:30:04

コメント (196)

匿川 名  2023-09-17 20:23

――なあんちゃって(爆

気がつけば最終更新から早くも5ヶ月!
どこに行くんだ、ノベリット!
それは・・・私も知りたいっ!(大爆

匿川 名  2023-09-17 20:21

峰を征く――。

一同は、ただ黙して誰(たれ)も語らず。
踏みしだくのは破砕した岩と、僅かな草木の成れの果てと。
真っ先を征くのは『勇者』である。
ただその眼(まなこ)は昏(くら)く、およそ生気と呼べるものが無い。

――否。

その眼の表徴と云うべきか。
例えば夜の海が昏くとも、其処には宿り棲む数多の命が在るかのように。
『ふうっ』と吐息が口の端から漏れるとき、
ぱちぱちと爆ぜる焚き火の粉よりも儚く。

其処に在るものをなんと語ろう。
其処に在るものをなんと呼ぼう。



或いはそれが、この世に残された最後の

『のぞみ』

で在るというのなら、

伏せる想いは横たわる長大な龍の如く、

僅かな瞳の穴からは、決して識れぬものでこそ、ただ只管(ひたすら)にあれかし。




峰を征く――。

ふらと続くのは『さぶらい』。
何を識るというのか、或いは、『識ること』はそもそも己が埒外であるのか。
ふらり、ふらりと歩くその足には惑いが無い。
盲(めしい)が手を引かれるが如く、然しそこには毛の先ほどの不安の影も無く。


峰を征く――。

女は嘗て騎士で在ったが、最早跨がる騎馬も無く。
とぼとぼとした足取りには、往時の颯(さっ)たる風(ふう)も無く。
惑いが纏う甲冑の中には、只管(ひたすら)に目を細む空虚な『まやかし』が。
苛むのは足の痛みでは無く、鎧の重みでも無く。


――大地が揺れる。
彼らの足下を揺する。

然しそれは、歩みを妨げるまででは無く、世界が発する声なき諫めとも在れず。

峰を征く――。

彼らは今、

病み崩る世界の直中に、

朧な勇者を陣頭に、

ひたひた――ひたりと峰を征く。


匿川 名  2023-04-17 21:32
「それは、誰なのだ」
そう尋ねたのはアニエスだった。
無論というか当然、この場ではノベリットしかその名前を識る者は居るはずもない。
「賢者で、老婆だ。
 オレの中に在り、かつて夢の中で語った」
ノベリットは歩みを止めず、そう告げた。
種田が眉間に皺を寄せ、眼を細める。
「馬鹿な」
アニエスは苦々しげにそう呟いた。
「最早この世界に残された刻(とき)はきっと僅かだ。
 なのに、打つ手が『夢の中の賢者に会うこと』だというのか?」
ノベリットはもくしたまま、しかしはっきりと頷き意思を表した。
それは嘗てない明瞭な目的の現れだった。

『眼鏡の、
  小柄な、
   賢者というよりも寧ろ魔女にこそ似た』

その言葉に驚愕したかのように、アニエスが両の眼を見開いた。
それは意味する事柄にではない。
発した人物にこそ、だ。
呟いたのはノベリットではなかった。
賢者を言い表したのは、実に種田そのひとだったのだ。

ノベリットはその言い表しに肯定を加えるかのようにさらに頷いた。

しかしそこには疑問も疑念も抱かないかのようで、
己が夢を他者が言い当てたことについて、
まるでそれが『当然の帰結』であるかのように。

匿川 名  2023-01-20 21:28
――大地が揺れる。

ゆさゆさと鷹揚に、併(しか)し何かの終焉を伺わせる、例えるなら今際の際の睡(ねむ)れる老い人の淡い吐息のように。
片膝をついてバランスを保ちながら、勇者は辺りを見渡した。
女騎士と侍は黙って彼を見つめている。
勇者は剣を地に立て、ぐいと身体を起こした。
竜は彼方の空に去り、最早追う事も叶わない。

彼の手の中で、剣の刃がぼうと薄青い輝きを放つ。



『大地に刺すなよ、いてーじゃねえかこの野郎』



で、そこに浮かび上がるのはそんな文句だったりして。


「・・・折角雰囲気を出してるんだからもうちょっと何とかならないのかな、こいつ」
ノベリットはぼそりと文句を呟いた。
「それで、如何に」
と種田さんがノベリットに尋ねた。
「そうだよなあ」
ノベリットはそう呟いて右手で自分の後ろ頭をぼりぼりと掻いた。
「折角ここまで逃げてきたんだけどさ。思うのよ。多分、このままだとこの世界って駄目になっちゃうんじゃない?」
ノベリットの言葉にアニエスが悲痛な面持ちを浮かべた。
「世の中って結局『やるかやらないか』しかないと思う。何となくだけど。
 今からオレが何かして、それが何かに間に合うモノなのかどうかも分からないし、実際何をすれば良いのかも分からない。
 でも、だからこそ、『今思い付いた事すらしない』っていうのは後悔しか生まない気がする」
ノベリットはそして、そう続けた。
その言葉に、種田さんが薄く微笑んだ。
「だから、行こうと思う。心の閃くままに」
「しかし、何処へ?」
アニエスがそうノベリットに尋ねた。
「ひとつだけ心当たりがある。間に合うモノなのか、辿り着ける処なのかも知れない。
 ただ、現状を打破するにはオレ達には圧倒的に『世界への知識』が足りない。
 補うには『識る者』を探し、逢うのが一番だと思う」
そう呟くと、ノベリットは歩き出した。
種田さんとアニエスがその後をそっと辿る。
「だが、それは一体」
アニエスが背後から尋ねた。

「ヴァンダール」

ノベリットはぼそりと、自らの中に在る夢幻の住人の名前を口にした。




匿川 名  2022-12-29 17:13
なんと5ヶ月ぶりに更新!
あのHU○TER×HUN○ERを決して笑えない現状!
でも書けたらまた書きに来ます。
毎度毎度ですが、乱入全然問題ナシです。

 匿川は あなたの一筆 待っている!
 
なんて五・七・五でまとめつつ、では、また。

匿川 名  2022-12-29 17:07

「『跡(あと)』とは?」
アニエスが種田にそう尋ねた。
「誰かの財布の中にコインが入っていたとして、持ち主のニオイがコインについていたなら、優秀な犬であればそこまで辿れる可能性がある、とうことです。だから、探すなら早ければ早いほどいい。しかし、」
種田はそこで一度言葉を句切った。
「しかし?」
ノベリットが身を乗り出しながら種田に尋ねた。
「それはすなわち、当然にあの魔法使いとその幻影に限りなく近づくことを意味する」
その言葉に、アニエスの表情が一瞬凍り付いた。
ノベリットは反射的に竜が翔んでいった東の空をがばりと向いた。
そこにはもはや竜の姿はなかった。
滑空の速さは比類なく、彼とその仲間に追うすべは何もなかった。

匿川 名  2022-12-29 17:06
竜は宙(そら)を滑り、やがてある嶺の上へと辿り着いた。
身を伏せるとそれを合図にしたかのように、背の一行が折々地に降り立った。
種田、アニエスにノベリットが続く。
三人が嶺に立ち、土を踏みしめる様子を確認すると、竜は一度ばさりと大きく羽ばたいてからふわとまた宙に舞った。
ノベリットがそちらを見やると竜は目を細めて、それから東の空を向いた。
竜はまた一度一行を見やる。
そして小さく頷いたかと思うと、背を伸ばし一転東の空へ向けびゅうと音を立てて飛んでいった。

「何処へ」と短く聞いたのはアニエスだった。
「多分、跡(あと)を探しに行ったのでしょう。皇の何か、わずかな欠片でも残ってはいないかと」
種田はそう答えた。
「それに何か意味があるのか?」
ノベリットは少しだけ怪訝そうな顔をして種田を見た。
「皇は失われた。おそらく、この世界からは消滅しているはず。ただしそれは完全な消滅ではなく、ある『個』が『其れ』を『己が為のみのモノ』として永久に保ちたかったための『移転』であると思われます」
「え、ちょ、つまりはどういうことだってばよ」
ノベリットが目を白黒させながら聞き返す。
「や、だからですね。カイザーが小銭の一枚だとすれば、普段はその辺に転がっている小銭だと思ってください。完全にフリー。でもその小銭がピカピカのコインでキレイだったから自分のモノにしたい奴がいたとして、今はそいつが自分のお財布の中に入れてしまったんで、他の人からは見えなくなっちゃった、と」
「ああ、分かりやすい。てか最初からそういってくれればいいのに」
ノベリットはスッキリした顔でそういいながら頷いた。
「まあ、そこは雰囲気込みだと思ってくださいよ」
種田は困ったように頭をかいた。


匿川 名  2022-07-03 00:09
ノベリットの傍らで、薄(うっす)らと輝きを放つのは伝説の剣だった。
ぼわあと陽炎のように刀身に浮かび上がるのは、言葉の羅列だ。
其処に、曰く、




『・・・まあ、小難しい事は置いといてですね』




・・・って、なんだかテキトーだぞ、伝説の剣?!

『メタ的なつぶやきが出来そうなのって今この場で私くらいじゃないですかあ』

ま、まあそりゃそうなんだけど!
でも誰にも気づかれずに独り言を呟いちゃってて良いのかい?!

『細けえことはいいんだよ!』

ええい、あなたはあのマツダさんですかっ!

『辛うじて勇者は復活しましたけどね。魔法使いはヤバいです』

はあ、まあ、そうでしょうね。

『それこそ現代社会においてスマホの停波が丸一日続くくらいヤバい』

それって今がまさに旬でかつメタなネタ過ぎません?!
おまけにヤバいのはヤバいですけど比較がそれじゃ意外とちっちゃかったりして?!

『虚数世界を支配して、誰にも手出しが出来ない第5次元にカイザーを喰らっちゃうなんて愛憎を通り越してもはやアホの領域だと思います』

あ、『アホの領域』て(滝汗
もう少し物言いは何とかならないんですかっ!

『育ちが悪いもんでな、スマン』

まあ、いいんですけどっ!
でもこれから一体勇者たちはどうするんです?
ナレーターというか語り部としては何だか色々と非常にやりにくいんですけど・・・。

『気にすんなよ。ここはちょうどベルセルクなら「83話」みたいなもんだと思いねえ』

はあ、いわゆる『深淵の神々②』ですかねえ?

『ウルトラセブンの12話だともいう』

そ、その例えは色々とヤバい!

『このお話も長くなりすぎたんで一旦でここで纏めてみようかと。
 ええと、今の目的!
 1・悪い魔法使いを斃(たお)す。
 2・世界を支える亀が死にかけているのをどうにかする。
 3・マナとカナもどうにかなりそうならどうにかする。
 4・カイザーは・・・』

か、カイザーは?

『純令Ⅱ(じゅんれーつー)に復帰できそうなら、復帰する』

・・・って、そっちかーい!(大爆

匿川 名  2022-07-02 22:43
『闇』は集合体である。

『掛け合わせて負の解』と為す虚数世界の実体が『闇』のそれであり、『光』が『波打つ無数の粒子』だとするならば、『闇』は無ではなく『その悉くがまた粒子』なのである。

ただ在り方が正反対であって、『観測の対象』とはなり得ないだけ。

よって『闇』は無と同一視される事が在るものの、それは『概念の過ち』であり、『圧倒的多数の虚数粒子』と名指すべきが『闇』そのものなのである。
或いは、空想の世界に表現を求めるならばそれは『エーテル』と読み替えるのが最も近い。

そしてその『闇』に意思を持たせるものが在り、意のままに操る事が是と為らば、それは宇宙の大勢を支配するに同一と言い換える事が可能で、最早それは『魔の法(のり)』の領域である。


では、『虚数』が『実数』を喰らうとは?



『負』にとって『正』は『負』で在るので、『負の負』に、『さらに負』を掛けるという事は?





『五番目の次元に運ばれる事象』は、今のこの場に何を齎(もたら)すのか?






昏い『エーテル』は邪な命に応じ、
『皇』を取り込んで、からからとその先に哄笑するのは、
在る意味では確実に『世界の頂』にこそ登り詰めた、
ある孤独な痩せこけた魔導を為す邪道の男が小躍りし、

ひとり。

匿川 名  2022-07-02 22:20
ぶしゅん、とくしゃみをしたのは純粋に生理現象だった。
それは顔を撫で続ける風が徒に鼻の中へと埃の一撃を見舞った結果に過ぎない。
しかしそれに応じて、侍――種田と、女――アニエスはほぼ同時にその主の方へと反射的に目を向けた。
気まずそうに肩を竦め、ノベリットは上目気味にふたりにそれぞれ目をやった。

種田は、しかしそこで微笑んだ。
乾いてはいたが乾ききってはおらず、寂しさを含んではいたが諦めには支配されていない。
そんな微笑みで、それは今そのとき、つまりブルー・アワーの仕舞い際に相応しい貌(かお)にノベリットには観えた。

アニエスは眼を細めていたが、心は読めなかった。
『感じられなかった』と表現してもいい。
強いていえばどこか戸惑ったような――『自分の表情が本当に意のままになるとして、だとすればどんな貌(かお)をすれば良いのか』と戸惑っているような。
ノベリットには、『勇者』にはそんな風に見えこそすれ、判ずる材料はついぞ持ち合わせなかった。

「レベルが上がったような顔をしていますね」

と種田が言った。

「分かる?」

とノベリットは応じた。

「分かりますとも」

と種田が頷くと、

「でもステータス値はそんなに上がらなかったかも」

とノベリットは残念そうに返した。

「良いんですよ、きっと」

と種田は呟いた。



「どれだけ小さな成長でも、『在るものは良し』と為る。
 あなたはきっと計れる以上の経験を積んできたに違いない。
 きっとあなたの内側で、眠れる心のその奥で」



種田はそう言うと、もう一度ふわりと微笑みを浮かべて、竜の向く方と同じ前へとその貌(かお)を向き直した。

「ところで、カイザーは――」

ノベリットが二人のどちらにでも無くそう尋ねると、そこでアニエスの肩がぴくりと震えた。
必然ノベリットの眼(まなこ)がそちらに向かうと、アニエスは眉間に皺を寄せ、次の瞬間にはあさっての方向へとその貌(かお)を背けた。
ノベリットはなお声をかけようとしたが、すんでの所で思い止まった。
彼の野暮な視線の先で――アニエスの肩が、ほんとうに細かくだが、止まずにただ震えていた。

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