バトンを繋ごうRPG 『勇者の旅立ち』[小説コミュニティ]
勇者ノベリットの冒険
かざぐるま} かざぐるま |
勇者は村を出た。装備も魔法もまだ持っていない。とりあえず北の森に向かってノベリットは歩き出した。そこに突然!! |
2013-07-11 19:30:04 |
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かざぐるま 2013-11-05 09:50
豪一郎はむくっと起き上がると、道場の奥に向かった。そこには漆の鈍い光に隠されるように、目立たない一振りの日本刀が収まっている。
「これが修羅の剣か。西洋の剣と違って何か怪しい光を宿してるような気がする」
すらっと剣を抜いたノベリットの眼は、心なしか戦士の眼になっていた。
とりあえず種田Jrは道場に残ることとなった。親父の技を継いで、立派な跡継ぎになると決めたらしい。
「では気を付けて旅を続けて下さい。てゆうか、その前にこの胸を戻して下さい」
確かにその胸では、弟子志願する人などいないだろう。
「分かったわ。ムネシボムント!」
「あのさあ……。もうちょっと使える呪文を覚えてくれよ」
ノベリットは刀を腰に差しながらマナに懇願する。
「ふふふ。あたしも日々成長してるのよ。今度何かあったら、もっとすごい呪文を披露するわ」
(すごいって今まですごい呪文ないんスけど)
みんな口には出さないが、頭の中に同じセリフが浮かんだ。
「よし! これでニャース神殿に向かう準備ができた。とりあえず『闇の谷』を越えなければ」
一応勇者の体裁を整えたノベリットを先頭に、一同は道場を後にした。
「ここがスタート地点だな」
闇の谷――それは深く暗いV字型の谷の底をひたすら歩くこととなる。奇々怪々な化け物がいつ襲って来るか分からないという危険な場所だ。もちろん普通の人は近づきさえもしない。
「よし、マナくん。君が先頭で歩きなさい」
「はあ? カイザー行ってよ」
「わふ?(なんでやねん)」
……相変わらずのチームワークだ。
結局、じゃんけんで負けたノベリットを先頭に、ついに荒涼とした谷に一歩足を踏み入れることとなった。
おや? いきなり少女が蹲って泣いているぞ?
「どうしました?」
ノベリットが訪ねた。
すると!!
匿川 名 2013-11-01 20:57
「・・・おお・・・?おおおおおお!!??」
驚嘆と歓喜が交じった声を発したのは、座る豪一郎さんだった!
「む、胸が!ワシの胸が?!うっひょおおお??!!」
なんと、豪一郎さんの胸が膨らみ、たわわな実りを見せている!
「こ、この手触りは!柔らかさと、張りと、天然故の垂れ!滑らかさ!うおお!ホンモノではないかッ!な、なんという奇跡!何という魔法!うおおおお!!!」
豪一郎さんは自分の胸の谷間に感動を隠しきれない!
っていうか、巨乳なら男でも、持ち主が自分でもいいのかこのエロ剣豪は!
瞬間、ノベリットが動いた!
豪一郎さんに対しチョップ一閃!
「んがっ?!」
炸裂した一撃に豪一郎さんが白眼を剥いて崩れた!
「と、父さん!父上!!父様!!!」
その様子に心配した和夫さんが駆け寄る!
っていうか、和夫さんの本当の『お父さん』の呼び方はどれだ!
和夫さんが豪一郎さんの身を起こし、その巨乳にふにゃんと豪一郎さんの頭が抱え込まれる!
すると豪一郎さんがうめき声を上げながら眼を覚ましかけた!
「ん・・・ううん・・・はっ!」
和夫さんが心配そうに眼を細めてその顔を見下ろし、見つめる!
「だ、大丈夫ですか!」
豪一郎さんは目の前の息子の顔と、自分の頬に押し当てられた巨乳に驚いた顔をしている!
「・・・和夫・・・」
「気がつかれましたか!そうです!私です!」
和夫さんが泣きそうな顔で父親を見ている!
「お前・・・大きくなったな・・・」
豪一郎さんはそう言って淡く微笑んだ!
和夫さんは何度も頷いている!
もしかして、和夫さんは家出でもしてたのか等とノベリットは考えていた!
すると、マナがドヤ顔で
「ぜえ~んぶ私のおかげってヤツね!」
と得意げに言った!
「私の負けだ・・・修羅の剣は譲ろう」
豪一郎さんは、安らかに微笑み言った!
「父上!」
和夫さんが悲しげにそう言った!
「しかし・・・和夫・・・本当に大きくなった・・・」
眼を細める豪一郎さんの様子に、思わずノベリットたちも貰い泣きしそうになる!
「本当に・・・大きくなった・・・特に胸の辺りが・・・」
その一言を豪一郎さんが発した瞬間に、和夫さんが抱えていた豪一郎さんの頭を冷たく放り投げた!
豪一郎さんは道場の床に激しく頭を打ち付け、くたあと静かになった!
かざぐるま 2013-11-01 07:37
「くぅーん♪」
尻尾をフリフリしながら豪一郎に近づいて行った。その姿は思わずノベリットたちも頭を撫でたくなるほどだ。
「おお、なんと可愛い犬だ。よしよし。――今夜は犬鍋だな」
「わっふうううううん!!」
カイザーはダッシュで戻って来た。その尻尾の先の毛は、剃刀で切られたように鮮やかな切り口を見せている。
「わふ(あれは手練れだぞ。太刀筋が全く見えなかった)」
どうやら、カイザーは相手の力量を見に行ってくれたようだ。
「そうか。では作戦Aで行くしかないな。Bはないけど」
ノベリットは種田Jrにスタンバイさせる。
「ねえねえ、あたし足はキレイだから、足だけ協力しようか?」
「いらね」
「わふふん(退くこと覚えろカス)」
「……」
マナは完全におこである。
「で、君たちは私に何か用かな? まさか道場破りと言う訳ではあるまい。――庭を良く見て見ろ。今までの挑戦者の墓が見えるだろう?」
割と広い庭にはびっしりと墓が並んでいる。
(なんか、タマとかミケとか書いてあるのもあるんですけど……」
ノベリットは思ったが、黙っていた。
「実は、『修羅の剣』というものがここにあると聞きまして、それを旅の間貸してくれたらいいなって感じで」
言い終わらないうちに何かが一閃する。
なんと! ノベリットの片方の眉毛が無い!
「ねえ、眉毛片方ないわよ?」
マナたちは心底驚いた眼で豪一郎を振りかえる。
「ふ。これが修羅の剣だ。これが欲しくば力づくで奪ってみるがいい」
豪一郎は道場の真ん中にすとんと座る。しかし……全くスキがない。
入口には種田Jrがスタンバっているが、親父が怖いらしく震えていた。
(種田さん! 今だ! お色気作戦開始!)
ノベリットは親指を立て合図した。
すると、何を思ったからマナが……。
「かーらーのー、ムネデカイン!」
すると、次の瞬間!
匿川 名 2013-10-29 23:33
「・・・と言うわけで作戦は簡単だ」
「なにが『と言うわけ』なんですかあ」
泣きながら種田さんが巨乳を揺すり訴える!
しかしそれはガン無視で、ノベリットは低い声で囁いた!
「道場には自分が殴り込む。決闘を挑んで、豪一郎さんが出てきたら、タイミングを見て和夫さんが入り口付近からパイオツを突き出す!しかし、ここで大切なことがある」
「何よ」
計画を聞きながら、マナは半ば以上あきれ顔だ!
「出すのは道場の入り口の陰から、あくまで『胸だけ』だ。まさか自分の息子がセクシー・ポーズを取りながら巨乳を揺すって道場に入ってきたら、何が起こるかは分からんからな。だから持ち主が我が息子であると悟らせず、豪一郎さんがその巨乳のシルエットに気を取られた瞬間に、一気にカタを付ける!」
無茶な作戦計画を立てたぞ、ノベリット!
しかし当の本人は『うまく行く気120%』の顔をしている!
種田さんはひとりしくしくと泣いている!
まあ、そりゃ巨乳以外は見た目が普通の青年なんだから仕方がないっちゃ仕方がない!
「そうと決まれば早速道場破りだ!行くぞ!みんな!」
おー、とやる気の全く無い一同の鬨の声を受けて、ノベリットは歩き出した。
みんなしぶしぶその後を付いてくる!
そして、種田道場は姫の城から山をひとつ、丘をふたつ越えたところにぽつねんと立っていた!
隣にはこぢんまりとした木の家がある!
「あれ、僕の実家です」
種田和夫さんは少しだけ懐かしそうにそう呟いた!
しかし、
「頼もう!」
全く何の遠慮もないまま、ずけずけとノベリットは道場の方に入り込み、胴間声でそんなことを言った!
あちゃあ、と言う顔でカイザーが犬ながらに首を横に振る!
「さて・・・客人か?」
薄暗い道場の隅から、のそりと細身の男が壁にもたれ座っていた姿勢から背を起こした!
黒ずくめのサムライスタイルに身を包んだ長髪のその男は、ゆらりと立ち上がり、眼光鋭くノベリットたちを見た!
この人が種田豪一郎さんか!?
ノベリットがそう思っていると、何とも意外なことに、その時チビドラが!
かざぐるま 2013-10-29 23:00
「よし、こうなったら腹をくくろう。豪一郎さんを倒すぞ!」
「ええええええ?」
ノベリットの言葉に全員ドン引きだ。しかし……。
「どんな達人にも弱点はある。何か親父さんの弱点を知らない?」
種田(息子)に尋ねるノベリットの顔は少し情けない。
「そういえば……。父は巨乳フェチで、乳のデカい女性にはめっぽう弱いのです」
「なるほど。じゃあ、コイツは無理だな」
「ええ。使えませんね」
マナを見る二人と一匹はため息をついた。
「てっめえらふざけんな! あたし肉体改造するから見てろよ。最近覚えた呪文はすごいぞ!」
「へー」
「ほー」
「わふん(へー)」
「見てろよ? 『ムネデカイン!!』」
「なんも起こらないじゃん。バカなの? ねえ、種田さん」
ノベリットは種田さんを振り返った。
「うっわああああああああ!!」
なんと! マナではなくて、種田さんの胸が膨らみ始めた。
「ふ。成功ね」
「ばふ(失敗だバカ)」
「しくしくしく……」←種田Jr
さあ、大変だ! 種田さんが巨乳になってしまった。
これはどうにか種田さんを利用するしかない!
さあ、どうする!
匿川 名 2013-10-27 19:27
『種田道場』
広げられた地図の隅っこに、そっと書かれていたのはそんな名前だった。
ノベリット、マナ、チビドラ、カイザーが一斉にジト眼で種田和夫さんを見る!
「・・・はい、実家です。なんだか、ごめんなさい」
「もしかしてニャース神殿のことを知っていたのは・・・」
「うん、だって冒険者ってニャース神殿で最初に職業を決めるじゃないですかあ。マナさんってまだ仕事が決まってなさそうだったから」
「人をニートみたいに言うな!」
それは何か言葉の意味が違う気がするぞ、マナ!
「でも、そうなら話が早いんじゃない?種田さんにお願いして修羅の剣を貸して貰えばいいじゃない!」
マナがいいこと思いついたと言わんばかりの声でそう言った!
しかし、種田さんは
「それがですね・・・修羅の剣は私の家に代々伝わる家宝の剣なんです。それを貸すことは有り得ない。得るとすれば奪うしかないんですが、奪うには、私の父と闘って倒すしかないんです」
種田さんは淡々とそう言った。
「ちなみに種田さんのお父さんの腕前は・・・?」
ノベリットはおそるおそる聞く。
「私の父、種田豪一郎は・・・居合道128段です」
「何そのテキトーな段位は!」
想わずノベリットは絶叫した!
「石灯籠くらいなら剣を抜く前から眼力でふたつに切れます」
「チート凄すぎだろ常考!!!」
重ねてノベリットは絶叫する。
「あ、でも大丈夫です」
「何が!」
マナも吠える!
「父ほどの腕前になると、切られても死んだことに気がつきませんから、痛くないです。きっと」
「「そうじゃないだろーーー!!!!」」
マナとノベリットは仲良く絶叫した!
しかし修羅の剣を手に入れるには、種田さんの実家でお父さんの豪一郎さんを倒すしかない!
どうする!勇者ノベリット!
かざぐるま 2013-10-27 11:06
「よし、一回落ち着こう。王様のところではまだ持ってたから、途中で落としたかな、かな? 俺気絶してたし悪くないよね?」
ノベリットは完全に現実逃避している。
「とにかく探しに戻るか、新しい剣を手に入れるしかないわよ」
マナは珍しくまともな事を言いながら、ぶつぶつ言っている彼の肩にそっと手を置いた。
「そうじゃ。この国にはお主の持っていた伝説の剣の対となる『修羅の剣』というものがあるのじゃ。探してみたらどうか?」
姫がナイスフォローを入れた。
「がふふん(探すか)」
「しょうがない、探しましょう!」
みんな賛成のようだ。
「で、姫。その剣はどちらに?」
姫は黄ばんだ古い地図を引っ張り出して、大理石のテーブルに広げる。
「ここじゃ!」
「えええええ!?」
ノベリットたちは目を疑った。そこは!?
匿川 名 2013-10-24 23:12
「見て!ノベリット、あれ!」
マナが叫ぶ声で、ノベリットは目を覚ました。
三日ぶりに開く瞼は重く、陽射しは目を刺すようだった。
白い影が晴れ、やがて目の前に結んだ世界の像は、豊かな自然が美しい景観の姫の国と、その山の向こうに、白い神殿の姿を結んだ。
「ニャース神殿・・・」
種田さんがぼそりと呟いた。
なんと!眠っている間にとりあえずニャース神殿のすぐ側まで来てしまったらしい!
「ん?何だ、そなたたち、ニャース神殿をしっておるのか?」
姫が首をかしげるようにしてそう言った。
「ええ、姫。実は我々はあの神殿を目指していたのです」
「なんと!」
姫はそう驚いたように呟いた。
しかし次の瞬間には眉間に皺を寄せうつむいた。
「しかしのう・・・わらわの国から、あの神殿は、確かに見える距離にある。しかし、行くには国と山との間に横たわる『闇の谷』を越えねばならぬ」
「なあに、平気です」
ノベリットは余裕で微笑んだ!
「どんな谷であれチビドラに乗り飛んでいけば一瞬です。その為にはこの伝説の剣の柄でまたチビドラを・・・伝説の・・・剣で・・・あれ?」
ノベリットはふと、腰の辺りをまさぐった。
しかしそこにはさしてあったはずの剣がない!
伝説の剣を、どっかに無くしてしまった!
マジか!勇者ノベリット!
目の前にニャース神殿を見て、谷を渡る術どころか、なんたる失態のこの事態!
ふと気付くとパーティ一同の視線が痛い事ったらこの上ない!
さあ、どうしちゃいましょう、勇者ノベリット!
かざぐるま 2013-10-23 09:17
「じゃーん!」
ノベリットが懐から取り出したモノは、『チート飴』だった。これは彼のお祖父さんが昔くれたものだ。
『いいか、ノベリット。本当にカッコつけたい時にしかこの飴を舐めてはいかんぞ。わしはな、これで嫁をゲットしたんじゃ。だが、気をつけろ。食べたあとは副作用で3日は寝込むからな』
しわしわの顔をさらにしわしわにして、お祖父さんはノベリットにその飴を渡した。
(じっちゃん! ありがとう!)心の中で感謝した。しかしもう飴はあと一つしか残っていない。
「姫よ。あなたはその性格を直せばきっと素晴らしいお姫様になりますよ。そして本当の王様は……。そこ! 逃げない!」
すべるように床を移動すると、本物の王様の襟首を捕まえる。
「これだと賞金はやれんぞ?」
王様はいやいやをするように首を振っている。
「かまわないです。この姫と一緒になって素晴らしい国を造って下さい」
ノベリットは完全に上から目線だ。
「がふん(おいおい、結局また賞金もらえないぞ)」
カイザーは前足を重ねて寝てしまった。
「わかりました。わらわは一度国に帰って花嫁修業をやり直します。そなたの言葉で目が覚めました。ところで、旅の者、ぜひわらわの国にこれから遊びにきてはくれまいか? 歓迎するぞ」
姫は輝くような笑顔でノベリットを誘った。
「ありがとう。3日はこれから寝込むから、運んどいて下さい。あの者たちもよろしいですか?」
「うむ。ぜひ一緒に」
種田さんとマナは早くも旅支度を始めていた。
姫に連れられ、三日三晩山道を歩いた。ノベリットもそろそろ目を覚ましそうだ。
そしてついに、姫の国に着いた。
何とそこは!?
匿川 名 2013-10-20 21:16
ついに、というか、まあ、お約束というか、マナの伸ばした指先には勇者ノベリットの姿があった!
「フ・・・ここまで来ては仕方がない。ついに主人公の出番という訳か」
そう呟きさらりと前髪を掻き上げるノベリット!
「初めからこうしておくべきだったのかもな。多少の豹変型でも、あのビジュアルなら我慢できる!」
開き直ったか!勇者ノベリット!
「貴方が国王陛下なのか?」
「その口の利き方は何だ」
姫に向かって、ノベリットはぴしゃりとそう言った。
種田和夫さんがひっと呻いて小さく背筋を伸ばした。
姫の表情がノベリットの言葉に凍り付く!
「お前の未来の夫に向かって、『なのか』とは何だ。それに加えて、なんださっきのくそ詰まらん暴挙は。俺がマナだとすれば、人前で夫に拳を振るう妻なぞ、絶対に許さないな」
「・・・亭主関白?!」
ノベリットの命知らずな言動に、種田さんがなぜか代わってガクガク震えている!
次の瞬間、
姫の閃光のような右フックが唸った!
しかし、
「「えええええ????!!!!」」
種田さんとマナが驚きの声をハモる!
ノベリットは首から上を微動だにさせず、左の手のひらだけでその拳を受け止めた!
「蝿が止まりそうな速さの拳だな。女しか殴れないのも道理だ」
ノベリットはそう呟いて、乱暴に姫の拳を投げ捨てるように放った!
姫はよろめいて、体勢を崩し、動揺の眼差しをノベリットに向けた!
一体ノベリットに何があった!
まさか今更超必殺技『主人公補正』が発動か?!
場の一同が驚きに見守る中、ノベリットは不敵に微笑みながら、懐に手を突っ込み、何かを取り出そうとした!
そこから、出てきたモノは?!