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(前編) 黄金山基地の未確認生物たち:あんたには俺がいるだろ

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1話 永久(とわ)の愛のプロローグ


 新年早々から10年振りの大雪、そんな極寒のせいなのか実に寂しい巣籠もり生活が始まりました。さらにですよ、生活物価は爆昇ながらも給料はカチンコチンに凍結したまま。
 季節はいずれ変わって行くでしょう、だけれども私には本当に春が来るのでしょうか?
 安アパートの一室でこう落ち込んでいたのですが、こんな私、直樹にもやっぱり巡り行くものなのですね、日本の四季は。
 そしてあれよあれよと開花宣言が北上し始め、ちょっと浮き浮きするよなあと感じ始めた頃のことでした。
 娑羅姫(さらひめ)からハートマーク付きのラインが入ってきたのです。
 彼女は奇っ怪山(きっかいやま)で暮らす平家の落人の子孫でして、正式名は魔界平(まかいひら)娑羅です。
 気は少々、いえいえ、めちゃくちゃ強いです。
 が、どことなく茶目っ気があって、私はこんな女性と我が人生一緒に歩めたらいいなあと、こっそりとですが胸を焦がしているのです。
 友人の浩二からは「何をモタモタしてんね、早く告白しろよ」と押されているのですが、とにかく娑羅はお姫様です。貯金も僅か、その上に鎖骨が見える、つまり筋肉もない私、「あら、そうなの、……、ところで姫を娶(めと)るということはどういうことかわかってんの、まず必要なのは男の甲斐性と民たちからの信頼よ、直樹に、今それらがある?」と切り換えされそうでして――。
 そこをとりあえず「頑張りま~す!」と答えると、ホッペタをバシッと叩かれて、それで終わりそうなんですよね、残念ながら。
 そんな娑羅さんから、明日夜7時に、高級焼き肉店・てっちゃんに絶対来て下さい、と。こんな彼女からの強烈なお誘いなど今まで一度たりともなかったんだよなあ。
 なぜ、なぜ、なぜ?
 ひょっとして、これは逆告白、いやいやそんなの焼き肉屋ではないわなあ。
 とすると、そうなんだ、これこそ序幕、永久の愛のプロローグというやっちゃ。
 だけどここで深刻な心配事が、そうなんですよ、お金が……。
 お姫様が食する焼き肉となれば、目ん玉が飛び出るほどの高級黒毛和牛、それに間違いない、ね。
 というこで、コツコツと貯めた郵便貯金の残金を確認し、明日ランチタイムに引き出すことを一大決心したのであります。
 そして、ハートマーク5個も冒頭に付けて、『ヨロコンデ、現地でお待ちしております』とラインを返しました。