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(中編) 黄金山基地の未確認生物たち:やっと先が見えてきた

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2話 ご飯のお供


 日曜日の昼前に白鳥神社の本殿前で娑羅姫を待っていると白い革ジャンに白いスラックス、そして真っ赤なマフラーを首に巻き付けて現れました。
「オーマイガット、これこそ目出度い紅白美人」と独り呟いていると彼女はツカツカと私の前に来て、「冒険の前に拝んで行くわ、直樹君はまだでしょ、はい」と言って、500円玉を握らせてくれました。
 そして二人並んでの二礼二拍手一礼。
 オッオー、我が人生においての一番の感激。
 もちろん私が神様にお願いしたことは、少しばかり長(なご)うございましたが、『娑羅さんは私に覚悟がないと仰いましたが、ここでお誓い申し上げます、私はここで覚悟を決めました、いかなる艱難辛苦があろうとも私は娑羅姫の生涯を支えて生きて参ります、神様、よろしくご支援のほどお願い申し上げます』と。
 その後おもむろに横を見ると、もう彼女は……、おりませんがな。
 さっさと赤いマフラーをなびかせ裏の小屋へと闊歩されてました。
 私はこれは参ったぞと追い掛けますと、「願い事、長(ナッガ)ー!」と。
 そして歩きながら講釈をなされました。
「あのね、直樹、ここの神社は別名一言(いちごん)神社と言われてるのよ、あんたみたいにあれもこれもと長々とお願いしても駄目なの、お金が欲しい、生きたい、それとか……、一緒になりたいとか、要するにダラダラはダメね、あ~あ、お賽銭の無駄だったわ」とご立腹のご様子。
 そこで私は「そうなんだ、ここは一言祈願だったんだ、まったく鱗から目だよ」とボソボソ呟き返しますと、なぜか笑みが戻り、「あのね、普通の人はだいたいね、目から鱗と仰るのよ、あなた本当に学校教育受けてきたの?」と顔を覗き込んで来られました。
 これに私は「一応多岐にわたって、例えば---。
 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらはす、驕れる人も久しからず、ただ春の夜(よ)の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵(ちり)に同じ、
 とかです」と答えると、娑羅さまは平家の末裔、少し顔に影が走り、しかしそれを吹っ切るように「さっ、下級武士、どこまでも付いて参れ、そして私(わらわ)を守れ!」と小屋の中へと入って行かれたのです。