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ネカマの恋

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俺はネカマだ。現在進行形でネカマだ。
友人にチャットに誘われ、「お前ネカマしてみろよ、面白いぞ」というのでネカマをしてみた。
それ以来俺は至る所でネカマをしている。
そう、ネカマは面白い。

ある日は出会い厨に本名を聞かれた。
俺は「坂本竜之介」と答えた。もちろん本名ではないが。
そいつは「ネカマかー!」と叫んで消えた。
哀れだと思った。どうせどんな名前でも「可愛いね」とか言ってきたんだろう、アホらしい。

ネカマの何が面白いって、相手が自分を女だと思って優しくしてくれたりするところだ。
実に哀れだ。
そして最後に男だと告げた時の落胆を思うと…それはもう、堪らなくゾクゾクする。


でも、辛くなった。ネカマであることが。
俺は男であると、それでも好きだと、伝えられないことが辛くなった。
こんなに辛いのなら、最初から男として出会いたかった。男同士として接したかった。
それなら、好きになんてならなかった。
だってそうだ、男の態度なんて相手が男か女でだいぶ変わる。
あの人が俺を男扱いしてくれればよかった。

今は、あの人に自分が男だと告げて、嫌われると思うと、不安になる、いっそ死んでしまいたくなる。
いっそ、このまま会話をせずに自然に縁が切れるのを待つのも手なのかもしれない。
だけど、今の俺には出来ない。俺はあの人が欲しい。
あの人しかいらない。他にはなにもいらないんだ。
作品名:ネカマの恋 作家名:谷河あつし