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認知症に遠い心の持ち方

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その2


私の生家の隣に住んでいた千代ちゃんという女性がいる。子供の時は年上のその人と遊んだ記憶はないが、隣同士なので母は何かと行き来していたようだ。

千代ちゃんは高校を卒業するとすぐに母方の従兄と結婚して東京へ行ってしまったので、数年後に子供二人の家族四人で地元に帰って来るまでは会ったこともなかった。

千代ちゃんの旦那は婿という立場だったが、現職のときは東京でバリバリの自衛官として働いていたという噂を聞いていた。その頃には隣の家にあった小さな家は壊されて、田圃を挟んだ目と鼻の先に家を建て千代ちゃんたちは両親共々住むようになっていた。

千代ちゃんの二人の子供はとても優秀だと聞いていたが、長男はやはり国立の最高学府に入学した。
当時私が千代ちゃんを訪ねて行っても家に入らせてもらうことはなく庭で立ち話程度で帰るという遠い存在だった。