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どんな心理なの

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かげろうのような人 その1


最近いつも見ているSNSのマイページに、全く知らない人の名前が入っている。私はそのSNSでは主にフォトを投稿し、ほんのたまに日記も書いている。
その人のプロフィールを見ることもないのでどのような人かわからない。


思い起せばあの時もそうだった。
彼は私に何の印象も与えずに日記に拍手を残すようになった。いつから私のフォロワーになっていたのかさえ記憶にない。
それなのに、彼が末期まで私と繋がり、死ぬ間際の最後の声を聞くことになろうとは――思いもよらなかった。


当時とても賑やかに過ごしていたSNSは私にとって寂しさを埋める場所であったが、10年もすると飽きる人も多くなり、友達が次々退会して消えて行った。
私も退会しようと思ったことはあったが、他の場所は人との繋がりが目的でないものばかりなので、人とコメントを通じて少しの人間関係が持てるサイトも必要かと退会せずにいた。

以前仲良くしていたともだちは少ししか残っていなかった。
そういうときいつも日記にコメントを書きに来てくれる彼がいたのだ。必ず来てくれる人がいるのは日記を書く意味があり、私にとって大事な友達だった。

彼のほうはバイク仲間とツーリングして、その日記をアップしていたが、私は仲間ではなかったので読みに行くことはなかった。それでも彼は必ず私の日記にはコメントを書きに来てくれた。

いつかツーリングで仲間と遊びに行きたいというので連絡の為にラインを繋いでもらった。ときどき私のほうからラインのメールをすると返事が来た。
真面目に会社に行き、独り暮らしでも早寝早起きしている様子が手に取るように想像できた。

ツーリング仲間はネットで集まった人たちなので住所も本名も聴いていないと知ったときはびっくりした。寂しいのでグループで集まって楽しんでいるということだった。
一年ほど私が書く日記には彼のコメントが入っていた。ラインからは青森に来ていると写メールが届いたり、富士山の麓での写真が送られてきたこともあった。


作品名:どんな心理なの 作家名:笹峰霧子