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その８

私が希望の東京の大学に行けなかったので、娘二人がその希望を叶えてくれたのは親としては本望だった。
長期間学校へ行かなかった娘は紆余曲折したものの、長女と義兄の娘二人共が入学できなかった大学に入学したというのもおもしろいことだ。
それにしても娘二人といとこの三人がそれぞれ別の六大学を卒業できたのはうれしいことだった。夫が入学式に上京し、私は卒業式に参列した。

私が東京へ何度か足を運んだのは子供の小さい時に怪我の縫合手術をしたときと、大学に入学してからの数回だ。田舎者には電車に乗ってあちこち移動するのはとても大変で、まるで迷路のような電車の昇降口には狼狽えたが、当時は若かったのでどうにか行けた。