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近頃おもうこと

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その6


子育て真っ最中の三十代は、何はともあれ夫がいることで安泰に過ごすことができた。物心がついてから、家族に男が存在するのは初めてだったからだ。
母以外には、生後から小学生まで寄り添ってくれた祖母、私の子育てを手伝ってくれた叔母、などとても懐かしい存在ではあったけれど、一つ足りないことは力強い男性の存在であった。

家庭の中に男がいるということは如何に心強いものであるか、夫がわが家に婿入りして初めて感じたことだ。二人の叔父も何かと助けてくれたものの、家族ではないので外部からは見えなかったし守ってくれる存在ではなかった。

夫を通して近所との付き合いも良くなり、私が奮闘して近所の白い眼を繕いながら過ごす必要もなくなった。力強い夫の母もしょっちゅう来て何かと見守ってくれた。
夫が勤務の後に夜遅くまで碁会所に寄って、子供たちが寝たあとに帰宅するということを除けば、何の心配もない日常であった。


作品名:近頃おもうこと 作家名:笹峰霧子