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色々な掌編集

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いつかお姫様は



昔々のこと、山々と畑そして岩山の国、その岩山に建っている城に若くて美しいお姫様がおりました。夢見る年頃になっていて、いつか王子様が迎えに来ると信じて暮らしておりました。

ある嵐の日、見知らぬ若者が城の門をたたきました。山奥の城のこと、すぐに姫の知ることとなりました。姫はひと目見て、この若者こそ自分が待っていた王子様に違いないと思い、話を聞いてみると、まさに王子様でした。

若者は、国の内紛で城から逃げてきたが、お付きの者が次第に欠けてしまって、独りでここにたどりついたと涙ながらに話しました。そして、王様も姫がこの若者を気に入っているので、しばらく滞在するように計らいました。


王子は、勉学と武道に励み、姫はうっとりとその様子をみておりましたが、どうしても一緒にいたいので、王にわがままを言って勉学と武道に励みました。二人は競い合って立派な騎士になっていました。

何年か経った頃、王子は元の領地の情報を知り、今こそ自分が行って元のように国を安定させるのだと決心しました。馬を一頭貰いうけ、若者は城をあとにしました。しかし、お姫様が姿を現さないので、王子は何故お姫様が別れの挨拶にきてくれなかったのだろうと考えながら、ゆっくり馬を進めました。

峠にさしかかり、ここを過ぎると城は見えなくなります。若者が城の方を振り返ると、土埃が見え、やがて蹄の音と共に数頭の騎馬が見えました。次第に姿を現します。なんと、お姫様が前後を若い騎士に守られながらやってきたのです。

「父上が、許してくれなかったので、強行突破してまいりました。もう、帰るところはありません。王子と一緒に戦います」

王子は、あっけにとられ、でもすぐに毅然とした顔になり、

「それはなりません、さあ城へ戻りましょう」

と、先頭にたって城に向かおうとしましたが、姫とお付きの者はどんどん峠をおりて行ってしまいました。王子もその後を追いかけるしかありません。

姫のあとを追いながら、姫と二人の若い騎士達の堂々たる姿に王子は次第に顔がほころんできました。そして、体中に力が漲るのを感じました。馬を急がせ姫の脇に寄り、姫の凛々しい横顔をみて、内紛が一気に解決する予感を感じました。

作品名:色々な掌編集 作家名:伊達梁川