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あすは我が身

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自分の老後は自分で守れ その1



いつもぐじぐじ言って他人に頼る老人、老女がいる。
子供に頼り、友達に頼り、毎日のように整形外科に通い必要でもないのに注射まで打たれる。保険での治療は注射の他にマッサージも鍼も電気も掛けるのにとても安いらしい。行き帰りのタクシー代は高いが治療代は100円ちょっとらしい。

一人では何もできなくなったというのが彼らの言い訳であるが、それは嘘。
そんなら何でそんなにお口が達者なのかな。
あちこち誰彼の噂を知り尽くしている。

一言しゃべれば近所隣りも知っている。

私が胃の調子が悪く胃カメラを飲んだときも、別の隣人から「よかったね」という声掛けがあった。あれ?あなたは知らないはずなのにって思った。


婚家の家に棲みついて60年、実家じゃないから未練はないという。さっさと娘の厄介になりに県外へ転居してしまった。嫁に行くことはそういうものなのかなと思う。

私の生家は道路になり市街地に転居して住んでいるが、まだ30年あまりしか経っていないけどやはり沢山の先祖も背負って来たから、この屋敷は守らなきゃと思っている。
実母、祖母、先祖が眠っているお墓もある。
山の上のお墓なので数年前から業者さんに大枚をはたいてやってもらっているが、ありがたいことだ。

娘が帰省したときは一緒に墓まで上る。
あちらへ逝った皆がうれしそうに迎えてくれるような気がする。まだ、すぐ行くからねとは言わずに帰って来る。

初秋には外国に駐在している娘が帰ると言ってきた。
ふたりでお墓詣りをすることになるだろう。


作品名:あすは我が身 作家名:笹峰霧子