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家庭それぞれ

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その9


章の前半で書いた40年来の友達のことに戻ります。

去年旦那様を失くした友人とは急接近し、細かいことまで話します。
これまでの付き合いとはころりと変わって気弱になり別の顔になった彼女は、電話を掛けてくる度に頭が呆けたと何度も何度も繰り返し言います。会話はすべてマイナス思考、私の生活にも深く入ろうとし指図してきます。

ほとんどがマイナス思考からの意見なので、マイナスの言葉を吐くとその思いは実現するということを何度か注意をしましたが、そのときは納得したような応答があっても忘れるのか、すぐに元通りになっているようです。ご主人がいるときには見せなかった弱さと優しさを感じます。

人にはそれぞれ良い所と、自分は絶対言わないだろうと思う事をずけずけ言うこともありますが、そうかといって親しく思ってくれている人を邪険にはできません。もっぱら彼女の動揺を受け入れてあげるという関係なのかなと思います。

あれほど高慢でしっかりしていた彼女がこれほどまでに自信を無くしたのには原因があるようです。


作品名:家庭それぞれ 作家名:笹峰霧子