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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紫に暮れる空 探偵奇談25 後編

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生きるために



紫暮と瑞、そして郁に、恵麻はすべてを吐き出した。軽蔑されて当然だ。こんな優しく清い人たちにとって、自分は毒でしかない。やはり、居場所など作ってはいけない。甘えてはいけない。優しくされる資格などない。


「俺も校長を問い詰めてわかったんだけど、きみが前にいた高校で関わった事件については、校長が意図的に教師に知らせてなかったそうだ。ヒトの口に蓋はできない。誰かが知れば噂はたちまち広がって、きみ本人と生徒たちが混乱するからと。だけど、どこかから漏れたらしい」

紫暮の言葉に、知らせてなかったっていいのかそれ、と瑞が口を尖らせた。

「生徒を動揺させないためと、彼女が日常生活を送るために必要な配慮だ。間違ってないと俺は思う」

だけど広がってしまった。制服から特定されたのかもしれない。美捺にしたことを忘れないようにという己への戒めの為に着ていたのだが。

「あたしは…罰せられて当然だし、恨んで出てくる美捺に殺されても当然だと、思ってる…今も、わたしの背後にいる。ああ、また…血がこんなに…」

両手が、赤黒くべったり汚れている。美捺の血…。

「おばけじゃないよ」

唐突に瑞が言った。

「おばけはいない。岡崎には何も憑いてない。俺にはわかるんだ」

どういうこと、と聞き返す。

「それはね、岡崎の頭の中にいるんだ」

そう言って瑞は、恵麻の手をとって持ち上げた。

「よく見て。血なんてついてない」

恵麻は瑞の顔を凝視してから、再び自分の手を見る。そこには血などついていない。

「なんで…だって、いま…」
「岡崎は心を治すためにお医者さんに行かなきゃだめなんだ。岡崎の心はすごく傷ついてる。大けがしてるんだよ」

心…?