小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

夜が訪れるとき 探偵奇談24

INDEX|21ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

夜が訪れるとき



展示会の閉館時間が迫る時刻に、瑞はそこへとやってきた。人はもう残っていない。床には瑞の作る長い影が別の生き物のように伸びている。
紫暮には目もくれず、彼はまっすぐ件の絵のところへ進んでいく。紫暮はその隣に並び、自身も絵を見上げた。

「夢でみたのと違う気がする」

瑞が怪訝そうに呟き、紫暮は頷いた。
そうなのだ。前回見たときはこんな絵ではなかった。変化しているのだ。どこが、と言われれば具体的に指摘できない。前回見た絵を、しっかりと思い出せないのだ。不気味だという印象は覚えているが、今は不気味だと感じない。なぜだろう。

絵の中の女はほんの少しだけ高角をあげ、笑っているように見えた。どこかで見たような、うっとりとした…その表情。開け放たれた窓からは、夜空の星が瞬いているのが見えた。夜の中で微笑む、満足げな女。タイトルは『帰る場所』…。

「閉館時間になりま~す」

二人の背後に、役所の名札をつけた女性が立っていた。

「あ、はい。もう出ます」
「熱心に見て頂いて」

そう言って初老の女性はにこやかに笑った。
この絵の変化に気づいていないのだろうか。毎日ここへ通っていた係の者のいるだろうに。始めからそうだった。誰もが、この絵に興味を示していなかった。紫暮と、もう一人の彼女以外は。
それに思いたち、紫暮は窓の施錠を確認しだした初老の女性に声をかけた。

「あの、昨日まで受付にいた女性は…一つくくりの」
「そんな方、いたかしら…。ここのフロアの受付はずっと男性ですよ?」

耳を疑う。