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人生の織物

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その3


体調がすぐれぬまま遅く入学した大学は希望していた音大ではなく、外国の教会からの資金で設立されたクリスチャンカレッジだった。同級生とは随分年齢が離れていたので、ストレートに入学していればあのように苦い思いをしなくて良かったのにと悔しくも思ったが、それでも専攻の英文科の勉強は英語が得意だった私には楽しい授業ばかりだった。

外国人の教師が数人いて英会話の授業はアメリカから来られた中年の女の先生だった。毎日礼拝の時間が30分あったのでそれも珍しかった。
三年生から讃美歌と礼拝前後の奏楽を大きなパイプオルガンで演奏する役目をもらった。パイプオルガンの音色はピアノとは異なって、重厚な雰囲気の曲を演奏するのは気分が良かった。一学年上の卒業式には式の始まる前にバッハのオルガン曲を演奏して華やかに盛り上げることができた。

入学当時からまだ本調子でない体調だったので、風邪を引くと何か月も咳が止まらず、おまけに気管支炎で息苦しくなり、個人病院を探して受診したことも度々あったが、その都度母が遠方から勤めを休んで来てくれた。

なんとか四年間無事に勉学に励み卒業できたことは有難かった。
母は私の洋服をオーダーするのが趣味だったが、卒業式には素敵なスーツを誂えてくれた。今でも校舎の裏で撮った母と二人の写真をみると、あの頃の苦しかったことやそれでも尚希望を持っていたことなど思い出す。


作品名:人生の織物 作家名:笹峰霧子